Business model

フードフェスのビジネスモデルは「チャネル」が問題

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

フードフェス、この夏もいろいろと開催されます。そこには、多くの飲食店が出店しています。そんな飲食店はもちろんのこと、フードフェスとしてもビジネスとして手掛けている以上、ビジネスモデルについて考えないといけません。

 ビジネスモデルを描写するツールといえば、ビジネスモデル・キャンバス。これは、実務家のアレックス・オスターワルダー氏と研究者のイヴ・ピニュール氏とによる共著本『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』(翔泳社)で紹介されたもの。今や、ビジネスモデルの定番中の定番。

 このビジネスモデル・キャンバスは、9つの要素から構成されています。最初に考える要素は、「顧客」。この顧客は、何か満たされていなかったり、より良くなろうとしていたりと考えています。そんな想いに応えることができる価値を企業は提供します。これが、2つ目の要素の「提供する価値」。

 これらの要素は、何もしなければ、結びつくことはない。顧客にどう認知されるか、また、どうやって価値を提供するかといったことも考えなければならない。これが、3つ目の要素の「チャネル」。ボクが思うに、このチャネルに課題があるフードフェスを見かけます。

 というのも、今日、久しぶりに、とあるフードフェスに行ってきたから。チャネルについての課題を検出しましたよ。それは、お店の前の行列をさばけないこと。

 フードフェスに出店している飲食店には、すでに有名であったり、名物のメニューがあったりと、オープンする前から行列ができることが見込まれるところがあります。すると、その行列をさばくことを考えないと、顧客にスムーズに食べ物や飲み物を提供できなくなります。

 ボクが今日、並んだのは、2つ分の店舗のスペースを繋げているお店。11時半頃なのに、すでに3列分ほどになっています。でも、同じお店の別の箇所に、1列に満たない行列もある。なんだろうと思いながらも、「どうせ、買えるから問題ないでしょ」と高をくくっていたら、ボクの真後ろに並んでいる2人の話し声が聞こえてきました。

「ねえ、あのA、あっちの短い列のほうなんじゃない?」
「え~、大丈夫だよ~。行列をさばいている人に聞いたら、こっちだって言われたじゃない」
「そうかな~、大丈夫かな~」

 そんな話を聞いて、「ちょっ、ボクの買いたいのもAだから、あっちの列のほうなんだけど」と焦ってくる。でも、同じお店だし、区切りもなく繋がっているし、買えるだろうと思っていたら、行列をさばく人がこう叫びだします。

「Aは、こちらの列で~す」

 おいおいおい、そりゃないよ。こっちの列でもBとCを買うつもりだから、もう1列半ほどまで来ていて、今さら、列を変えられない。

 しかも、そのお店では、たくさん買う人に備えて、袋やトレーなどを用意していないため、こちらのBとCを買うと、もうAを持つ手がなくなる。仕方なく、BとCだけで諦めることにしました。

 このように行列をうまくさばけていないため、販売の機会を逃しています。別のフードフェスでは、それぞれのお店の前に、行列に備えて、紐をつかって順路を確保していましたケースもありました。ほら、空港やホテルなどで行列を整理する、アレ。「パーティションポール」や「ガイドポール」などと呼ぶようです。

 もちろん、そのポールによる通路を超えて行列ができると、ぐじゃぐじゃと並びだします。しかし、それでも、この行列がどこに繋がっているかは把握できる。他のお店に並ぶリスクや同じお店でも他の飲食の列に並ぶリスクを低減させられます。

 ボクが並んだお店も、行列ができると自覚しているのなら、パーティションポールで行列をさばく必要があります。実際、お店の人が大声で「列を詰めてくださーい」と叫ばなければならない状況になっています。だったら、そう叫ばなければならない状況そのものをなくしたほうが、お店にとっても、行列に並ぶお客さんにとっても、ストレスはない。

 今や、フードフェスはあちこちで開催されています。こうしたチャネルも含めて、うまく運用しているフェスもあります。また、フードフェスに通い慣れているお客さんの目も肥えています。

 出店している飲食店やフードフェスの主催者は、もっと顧客に寄り添った検討をするために、ビジネスモデル・キャンバスを活用してはいかがでしょうか。「チャネルは大丈夫か」と一つ一つチェックしていくのです。

 お客さんのストレスがなくなる結果、ボクのように沢山買おうとしている人の需要をしっかりと吸収できます。「お金を払うから売ってほしい」と思っているお客さんを逃すほどに、ビジネスモデルとして成立していないことはありませんからね。

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