
「これなら簡単だ。更新オプションも解約オプションもない。リース期間は5年で確定!」
誠人の声が会議室に響いた瞬間、黒嶺の眉が微かに動いた。
「そう単純にはいかないな」
『リースの数だけ駆け抜けて』
会計系ビジネス青春小説|全20話完結
新リース会計基準の適用で、不動産の賃借契約をどう扱うか。その判断は、経理だけでは完結しません。
法務、総務、店舗開発、そして監査法人。それぞれが見ている景色が違う中で、リース期間をどう決めるのか。契約書に答えは書いてありません。
この小説は、その判断が生まれる現場を描いています。あなたなら、どこでどう判断しますか?
全話ガイド
── 序章・プロジェクト発足まで
第1話「運命のプレゼンテーション」
5年後のローンチイベント。壇上に立つかつての仲間を見つめる誠人の回想から、物語が動き出す。
第2話「小さな勉強会」
2024年12月。新リース会計基準の勉強会が始まる。経理の誠人、法務の黒嶺、総務の沙織、そして外部から来た美咲。
第3話「四人の交差点」
借手のリース期間とは何か。美咲の説明に、誠人は自分の無知を突きつけられる。
第4話「定期契約の罠」
銀座店の定期建物賃貸借契約。シンプルに見えた契約書の奥に、借地借家法の落とし穴が潜んでいた。
第5話「プロジェクトの誕生」
勉強会から正式なプロジェクトへ。氷倉本部長の一声で体制が動き出す。
── 論点の深化・モデル構築
第6話「モデルの構築」
美咲が財務モデルの設計に着手する。数字の裏にある判断をどう構造化するか。
第7話「海外の知恵」
IFRS16の先行適用事例から学ぶ。海外実務との比較が、新たな視点をもたらす。
第8話「空回りの情熱」
誠人の前のめりな姿勢が、チーム内に摩擦を生む。情熱は、ときに障害になる。
第9話「取締役会への道」
プロジェクトの方針を経営層に諮る。社内承認の壁が立ちはだかる。
第10話「深まる検討」
個別の契約に踏み込むほど、判断の難しさが増していく。標準化の限界が見え始める。
── 監査との対峙・揺らぐ判断
第11話「監査法人との協議」
プロジェクトの判断を監査法人に説明する。外からの視線が、内部の論理を揺さぶる。
第12話「誤解の連鎖」
部門間の認識のずれが、小さな誤解を連鎖させていく。
第13話「専門家という壁」
外部の専門家に頼ることで、かえって現場の当事者意識が薄れていく。
第14話「最後の準備」
適用に向けた最後の詰め。準備は万全のはずだったが──。
第15話「誤解の夜」
すれ違う想い。仕事上の対立が、個人の関係にまで影を落とす。
── 危機と決着
第16話「開かないファイル」
財務モデルに異変が起きる。信頼していた数字の前提が崩れ始める。
第17話「対峙の時」
問題の核心と向き合う。逃げられない判断の瞬間が訪れる。
第18話「最悪の事態」
プロジェクトが最大の危機を迎える。積み上げてきたものが崩れかけたとき──。
第19話「守るべきもの」
それぞれが「何を守るために判断するのか」を問い直す。
最終話「再会のモデル」
5年の時を経て、四人が再び交差する。あの日の判断は、何を変えたのか。
著者:竹村純也(公認会計士)。会計基準の実務適用をテーマに、『後発事象の会計・開示実務』『のれんの減損の実務プロセス』ほか複数の実務書を執筆。制度と現場の接続を一貫したテーマとしています。




