Accounting

3つの流れで、監査報告書の改正は理解する

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昨日の2019年9月3日、金融庁で開催された企業会計審議会総会に傍聴してきました。もう制度となったもの、これから制度化されるもの、近々に公開草案が出るものと、監査報告書の記載の仕方が、いろいろと変わります。ボクの整理では、3つの流れ。

 1つ目の流れは、年度の財務諸表監査における監査報告書。これは、KAM(監査上の主要な検討事項)が導入された2018年改正の監査基準で求められたもの。KAMの影に隠れて若干、目立たなくなっていますが、世界的な監査報告書の革命といわれる取り組みのひとつ。

 一言で言えば、監査報告書の記載内容の位置替え。監査報告書の利用者が読みたいもの、つまり、監査意見を冒頭に記載することになります。これは、2020年3月決算に係る財務諸表の監査から適用されます。

 2つ目の流れは、年度の財務諸表監査に追随した変更。四半期レビュー報告書、中間監査報告書、内部統制監査報告書も同じように、結論や意見から先に書く順番となります。

 このうち、昨日の企業会計審議会総会で決定された改訂四半期レビュー基準は、2020年4月1日以後開始する事業年度に係る四半期財務諸表の監査証明から適用されることになります。また、改訂中間監査基準は、2020年9月30日以後終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施することになります。

 いずれも、1つ目の流れである年度の財務諸表監査の後からの適用となります。3月末決算会社では、年度の監査報告書の記載順序はこの進行期から適用されるため、今から四半期や中間に適用するのはできない。だから、年度の後ですね。

 一方、内部統制監査の基準や実施基準は、これから公開草案が出るところ。他のものとは少しタイミングが遅れています。ただ、気をつけたいのは、適用時期。公開草案ベースでは、改訂基準や改訂実施基準は、2020年3月31日以後終了する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用することが提案されているのです。

 これは、内部統制監査の監査報告書が、年度の財務諸表監査の監査報告書と一体として提示されるため。同じ書面なのに、財務諸表監査の監査意見は冒頭に記載されるのに対して、内部統制監査の監査意見が従来どおりの位置だと、明らかに変。

 ただし、変更内容も記載の順番に過ぎません。そのため、適用初年度がすでに始まっているものの、実務に支障はない。だから、1つ目の流れと同じ適用時期となるのです。ここは注意が必要。

 3つ目の流れは、限定付きの適正意見における監査報告書の記載。これは、2019年1月22日にリリースされた「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」報告書を受けた流れのため、先の2つとは違う流れ。

 昨日の企業会計審議会総会で、この内容による監査基準の改正が決定されました。この2019年改正の監査基準では、限定付適正意見の場合に、なぜ不適正意見ではなく限定付適正意見と判断したのかの説明が求められます。

 この適用時期にも注意が必要。2020年3月決算に係る財務諸表の監査から実施することになります。3月末決算会社では、この進行期からの適用なんです。適用までの猶予がないのは、2019年改正の監査基準の前文にもあるとおり、従来から求めていた内容を明確化したため。本来的な意味での変更ではない、ということ。

 これらをまとめると、年度の財務諸表監査と内部統制監査の監査報告書の改正はどれも2020年3月決算から適用。また、それ以外の報告書の改正はその後の年度からの適用。3つの流れはあるものの、適用時期から整理するとわかりやすいハズ。

 そんな観点から、所属する事務所の研修で話そうかな。ボクが講師の研修なので、どう変わったかはもちろんのこと、なぜ変わるのかについても厚く説明するのでしょうね。

 問題は、時間の捻出。同時並行で動いているものがあるため、どうさばいていくかがポイントになります。えっ、こんなブログを書いているなら、そっちをやれば、って。もう厳しいことを言うんだから~、ここまで読んでおいて。ね。

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