Business model

PDCAサイクルを振りかざすのは危険

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

この一週間で、北陸方面から出てきた方々と雪の話をしました。お一人は新潟、もうお一人は金沢。どちらの地域も、冬の季節には雪景色が良く似合う土地。

 そこでボクは、「雪は多いですか」と質問しました。いずれも「今年は少ない」との返答。それぞれ別の日に話していたのですが、時期が近かったためか、同じ状況にあったのでしょう。雪の少なさを嘆くように話していました。

 ボクは金沢出身のため、少し得意げに、こう聞き返しました。「でも、住んでいる人にとっては、雪が少ないほうが助かりますよね」と。冬の時期に雪国に住んでいた経験がある人なら、身にしみて分かるのは雪かきが大変なこと。

 特に戸建て住宅だと、屋根の上の雪も落とさなきゃならない。湿った雪が、1坪の屋根の上に1メートル積もると、その重さは1.5トンを超える計算。こまめに雪下ろしをしないと、家が大変なことになってしまいます。

 もちろん、屋根の上の雪を降ろさなくても、出入り口付近や家の周りの雪をどかすのも一仕事。この雪かきを毎日1,2時間もしていると、やせるほどに重労働。

 このように、雪国の人にとっては、雪かきは大変な作業。雪が日常ではない観光客のように、積雪を見るだけでキャッキャ、キャッキャと楽しむものとは違う。日常になった途端に、観光とは違う側面が文字通り重くのしかかってくる。だから、ボクは得意げに、雪が少ないほうが地元民にとって負担が楽ですよねと共感を求めました。

 しかし、二人とも、ボクが想定していなかった返答をしたのです。

「確かに、冬の時期はそうだけど、雪が少ないと夏場の水不足のほうが心配になる」と。

 これは、ボクにとって新鮮な気付きでした。確かに、ボクが金沢に住んでいた頃は、冬の時期になると雪がそれなりに積もるのが当たり前の時期でした。毎朝、自治体が除雪車を走らせるほどに豪雪。道の両側にかき分けた雪が、1メートル以上も積み上がっているのが通常の光景。

 振り返ると、東京に出てくる2,3年は雪が少なくなっていたものの、だからといって夏場に水不足を心配するほどではありませんでした。ボクの子どもの頃よりも状況が違っているのでしょう。そんな環境変化があるにもかかわらず、昔の感覚で地元民ヅラして話をしていたのです。恥ずかしや~。

 これがまだ、雑談で良かった。ビジネスでこんな振舞いをしていては、ダメ。例えば、2020年にもなって、「PDCAサイクル」を叫ぶ人。これは1950年代に開発されたもの。しかも、計画したものを回していけばよいほどに環境変化がない状況を想定したもの。

 もちろん、PDCAサイクルを完全否定している訳ではありません。これが活用できる環境において有効なことを忘れてはいけない。ひとたび、想定した環境が変われば、とたんに使い物にならないのです。効果が得られるどころか、害となるだけ。

 他にも、SWOT分析や4P、3Cなどのフレームワークも同じ。それが活用できる環境でこそ効果があります。環境が変わっていることに気づかずに、フレームワークが有効だと勘違いしたままビジネスを走らせると、大変な状況を招くのは容易に想像がつきます。

 かつて体験したことが今でも通用するかどうかは、今一度、考え直してみる必要があります。雑談の失敗のように、あなたのビジネスを扱ってはいけません。

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