会計士仲間に話すと、誰もが興味をもってくれるアイデアがあります。特に現場で手を動かしている会計士ほどに、「それ、実現してほしい」と言われるもの。
そのアイデアとは、表示チェック・アプリ。会社法に基づく計算書類等や有価証券報告書に掲載される金融商品取引法に基づく財務諸表について、規定された表示であったり、所定の注記であったりがチェックリスト形式で検討できるアプリケーション。
会計士は、会計監査にあたって、こうした表示チェックリストを活用しています。各監査法人が自ら作成している場合もあれば、日本公認会計士協会から会計士向けに提供されたものを利用している場合もある。表示チェックリストのひとつひとつを潰し込んでいけば、要求された開示を満たすのです。
ボクのアイデアは、この表示チェックリストをアプリにするもの。というのも、実務でこれを使っている過程では、すべての項目をイエスか、ノーで振り分けられないから。少し確認しないと、どちらかに判別できないことがある。
だから、それぞれのチェック項目に対して、イエス欄とノー欄だけではなく、ペンディング欄も設けるのです。紙媒体の表示チェックリストだと、付箋紙を貼り付けて対応しているかもしれません。
しかし、アプリにすれば、ペンディング欄だけを一覧表示することができます。潰し込むべき項目に何があるかを確認できる機能は、表示検討の過程で何気に役に立つ。だからこそ、誰もがこのアイデアに賛同するのです。
一部の監査法人では、スプレッドシートで提供しているケースもあるようです。それであれば、ペンディングにした項目を一覧にすることも容易でしょう。
ただ、ボクのアイデアは、それだけにとどまらない。注記について、最初に「あり」「なし」をチェックするページを設けるのです。
紙媒体の表示チェックリストでは、例えば、企業結合がなくても、そのチェック項目のすべてで「ノー」欄にチェックを打たなければなりません。しかし、そのチェックの前に、「なし」をチェックできれば、企業結合に関するチェック項目も表示されない。
このように、初めから「ない」ことがわかっている注記項目が少なくないときには、この機能は作業負荷や精神的な負荷を軽減することができます。
また、該当がある場合には、記載例もクリックひとつで見られるなら、作成のイメージがつきやすい。以前、専門誌『旬刊経理情報』(中央経済社)で関連当事者をテーマにした記事を書いたときに、関連当事者の注記に特化したチェックリストを提供したことがありましたが、それに近い感じ。
そうそう、後発事象なら、拙著『後発事象の実務』(中央経済社)で提示した記載の仕方も役に立ちそう。記載例だけではなく、どう書くかのポイントまで説明してありますからね。この本を発売した後のアップデートも、プロネクサスさん主催の後発事象セミナーで説明しているため、すぐに実装できそう。
こういうのは、本当は会計士側ではなく、財務諸表の作成者サイドが使うのが理想的。内部統制報告制度への対応としても、これがあると開示プロセスをより充実させられます。そのためにも、こうした作業負荷に配慮したツールが必要だと考えています。
特に、新型コロナウイルスの感染拡大の防止などによってリモートワークを前提とするなら、電子媒体で作業が進められる環境が不可欠。それは監査人もそうだし、財務諸表の作成者サイドも同じ。
ネックなのは、毎年の更新作業が大変なこと。内容のアップデートに加えて、アプリの開発や更新など、ボクひとりでは手に負えない。
賛同される方がいらっしゃったら、ご一報ください。このブログでは紹介していないアイデアもあるため、ぜひとも、一緒に開発しましょう。