こんにちは、KAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。
今日は、KAM(監査上の主要な検討事項)ではなく、収益認識のお話しです。収益認識はKAMと無関係ではありません。収益認識の新基準が2022年3月期から強制適用となるため、その会計処理や開示の仕方がKAMとして取り上げられることは容易に想像がつくからです。
対応に追われる現状
3月末決算会社の場合、収益認識の新基準が強制適用となるまで、あと5ヶ月ちょっと。差し迫っているためか、収益認識の新基準への対応について、各社で動いているようですね。
というのも、このブログで提供している無料レポート「新・収益認識の対応プロジェクトが進まない理由」を入手される方が、今でも増えているからです。このレポートは、今日の2020年10月23日からちょうど2ヶ月前の8月23日付で提供したもの。こちらのリンク先のことですね。
公表したときには、まだお盆が空けて間もなかったためか、想定していたほどの動きではありませんでした。「そうか、各社、もう対応が終わっているのか」と思いきや、そうでもない。9月に入っても10月に入ってもダウンロードされる方が続いています。そのため、各社で対応に追われているものと推測されます。
着手の仕方からのお悩み
ボクが見聞きする範囲では、各社の進捗はさまざま。順調に進んでいる会社もあれば、思うようには進んでいない会社もあります。収益認識の新基準に対応しなきゃと思いながらも、なかなか手がつけられず、そろそろお尻に火がついて着手しはじめた会社もあるでしょう。
収益認識の新基準への対応プロジェクトでコンサルタントの支援を受けない場合には、何から始めれば良いかがわからないこともあるハズ。影響度分析をすれば良いとは聞くものの、その分析をどこから着手するのかの方針が立てられない。
連単倍率が低い場合には、連結子会社を後回しにしたり、検討不要としたりすることもできるでしょう。しかし、その倍率が高い場合には、どの連結子会社を対象とすべきか、その優先順位をどう決めるか、その子会社でどの取引を分析するかなど、悩みがつきません。
影響の大きな取引にアタリをつける手法
ボクがお手伝いしている現場では、「グループ企業の収益認識の概要」という資料を作ることから始めています。もちろん、連結ベースで収益の構造を把握します。これによれば、どこから何に着手すべきかが明確になります。
つい最近も、ある会社サンで、この資料を作りました。連結子会社の数が両手で足りるか足らないかという会社サンでしたが、優先順位が根拠をもって視覚化できましたよ。
この資料、実は、財務諸表監査の計画立案の手法が役立っています。財務諸表監査では、連結財務諸表においてどの拠点でどのようなエラーが生じやすいかを検討しながら計画を作成していきます。つまり、問題のありそうなところにアタリをつけるのです。
これって、収益認識の新基準の対応プロジェクトで、どこから分析を着手するかと同じこと。影響度分析や本格分析を行うにも、新基準の導入による影響が大きいところを外す訳にはいきません。また、その検討に時間をかける必要もあります。そのため、財務諸表監査の計画のように、アタリをつける手法がそのまま活用できるのです。
併用する資料でアタリを確実に
ただ、それだけでは推測にすぎません。ボクの場合、「収益認識の新基準に関する質問票」という資料も併用しながら、そのアタリの裏付けをとっていきます。また、アタリをつけていなかった取引をあぶり出すことにも使えるため、ある程度の網羅性も確保できます。
こうしたスコーピングを誤ると、その後の工程に影響が及びます。どの拠点で何を検討するかの選別次第で対応プロジェクトの期間が長くなり、また、コンサルタントへの支払いも含めたコストも高くなります。ホラ、かのアルベルト・アインシュタインも、こう話したと言われています。
私は地球を救うために1時間の時間を与えられたとしたら、59 分を 問題の定義に使い、1分を解決策の策定に使うだろう
いきなり取引を検討したい気持ちを抑えて、検討するための適切な計画の立案こそが大事なことが理解できます。あなたの会社の収益認識対応プロジェクトに、適切な計画はありますか。
P.S.
こちらの緊急レポートは、多くの方にご覧いただいております。無料で入手できますよ。
P.P.S.
こちらのE-Bookも、大した告知をしていないにもかかわらず、お手にとっていただいております。お役に立てば何よりです。