Accounting

期末決算スケジュールの10連休インパクト

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

2019年5⽉1⽇。この⽇が「祝⽇」になったときに、決算がストップしかねない。

この⽇、皇太⼦さまが即位され、改元されます。政府はこの5⽉1⽇を「祝⽇」にする⽅向で検討しています。

もし、あなたが「どうせ期末決算だから、5⽉1⽇が休みだろうがなんだろうが関係ない」と思い込んでいるなら、、、それは⼤間違い。

なぜなら、4⽉27⽇から5⽉6⽇まで10連休となるからです。

5⽉1⽇が「祝⽇」になると、「国⺠の祝⽇に関する法律」第3条2項に基づき、4⽉29⽇(昭和の⽇)との間に挟まれた4⽉30⽇が休⽇になります。同じく、5⽉3⽇(憲法記念⽇)との間に挟まれた5⽉2⽇も休⽇になります。

この結果、⽇本のカレンダーは、4⽉29⽇の週のすべてが、いわゆる「⾚い⽇」。この10連休は、決算に影響がありすぎるんです。

もちろん、5⽉1⽇が「休⽇」となった場合も考えられなくもありません。しかし、そうであっても取引先の担当者や会社が10連休とすることも⼤いに考えられます。そのため、休⽇になったとしても、決算への影響は避けられないのです。

具体的には、まず、取引先がお休み。取引先が10連休となると、監査人の発送する確認状が、ゴールデンウィーク後にならないと返ってこないことも想定しておくべき。連休明けに確認状の回答の催促にいつも以上に手間がかかってしまうかもしれません。

次に、社内もお休み。経理だけ出社すれば済む話でもありません。営業も購買も⼈事総務も出社していないからです。経理以外の部門に質問や資料依頼が必要なものは、事前に調整しておかなければ、連休明けまで待つことになります。これは、10連休中はまともな決算作業ができずに、⼿待ちとなることを意味します。

もっとも、経理部門でも働き⽅改⾰の下、「決算だから休⽇出勤や⻑時間労働が許される」状況にはない会社も多いでしょう。
やはり、ゴールデンウィーク後にならないと決算作業が進まないことが、十分に想定されるのです。しかも、監査対応もあります。ぞっとしますよね。

そこで、2019年5⽉1⽇が祝⽇となった場合でも大丈夫なように、期末決算スケジュールを調整しておくのが良いです。例えば、、、

(1)決算短信の公表⽇

4月の月末前後に決算短信を発表している場合、ちょうど連休と重なります。4月26日(金)に決算発表を早めることが現実的ではない会社もあるでしょう。そこで、いつ決算発表を行うかを検討しておく必要があります。

このとき、「うちは、もともと発表が遅いから」と安心してはダメ。10連休で決算作業が思うように進まなければ、そのしわ寄せはゴールデンウィーク明け。結局、決算発表が遅くても対応期間が短くなるのは同じなのです。

(2)取締役会の開催日

いつ、決算発表を承認事項とした取締役会を開催するかの検討も必要。可能かどうかわかりませんが、10連休中に決算発表ができるとしても、果たして役員さんが集まってくれるのか、担当者としては心配でしょう。

もし、10連休の前後に開催するなら、どの企業でも集中すると想定されるため、社外取締役や非常勤監査役などの日程を押さえられるかが大変そうです。

(3)決算説明会の外部会場の予約

外部会場を借りて決算説明会を行っている場合には、日程変更が可能なのかも検討すべき。会場によっては1年前から予約して押さえているため、今から変更がきくのか、すなわち、別日に空いているかが対応上の課題となりそう。

こうした事項などを踏まえたうえで、期末決算スケジュールを調整しておかなければ、いつもより(尋常ではない)短い期間で決算を仕上げなければならない局⾯に⽴たされかねないのです。

しかも、監査法人の日程も例年どおりに設定されているなら、早めに後にズラすといった協議も必要。予定通り進んでいない決算作業の横で、監査法人が資料や説明を催促してくるなんて考えたくもないですよね。

そうそう、場合によっては、監査法人の監査報告書日や監査役会の監査報告書日も後にズラせると、決算作業に余裕が生まれます。たとえ1⽇でも後ろにずらせるなら、ずいぶんと助かるハズ。

ぜひ、会社内部で決算そのものや短信発表に影響が及びかねないことを共有し、期末決算スケジュールの検討を進めましょう。

P.S.
この記事は、2018年9月に、所属する監査法人内やお付き合いのある監査法人の方に共有したもの。Facebookで「SNSにもアップした方がよい??」と聞いたところ、リクエストがあったことから、企業向けにアレンジして投稿しました。ご参考になると嬉しいです。

P.S.S.
10連休に対応する際に、決算早期化という選択をとられた場合には、こちらの本が参考になります。最終的な開示を見据えて決算資料のムダをなくすなら、武田雄治『「経理の仕組み」で実現する 決算早期化の実務マニュアル〈第2版〉』。

また、業務プロセスの見直しから着手するなら、金子彰良、笠原浩一『阻害要因探しから始める決算早期化のテクニック』がオススメです。

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