Business model

フードフェスとチャネル

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

フードフェスって、いろいろと開催されていますよね。
タイとかメキシコなどのように国をテーマにしたものもあれば、ラーメンや日本酒などのようにジャンルをテーマにしたものあります。

そんな中、先週末に行ってきたのは、さがみはらフェスタ。神奈川県相模原市で開催されたイベントです。

そのメインは、「さがみはらぁ麺グランプリ」というイベント。相模原エリアに出店しているラーメン屋さんの一番を投票で決めていくものです。

で、なんで、そんなフードフェスの話を持ち出したかというと、お客さんの動線が良く考えられていたから。

というのも、先月に行った別のフードフェスが、お客さんの動線がうまく作れていなかったから。だから、目当てにしていたお店に行列ができていても、その原因がレジ周りにあるとわかると、うまく回っている別のお店のほうを選びました。

お客さんの動線は、時系列でみると、「食べる前」「食べるとき」「食べた後」の3つに分けられます。今回は「食べる前」についてお話していきます。

フードフェスでお客さんが「食べる前」で最も重要なのは、レジのやりとりがスムーズであること。テーマとなるフードに興味を持ち、お腹も空かせている中で、レジが原因で待つのはストレスが溜まるものです。

レジをスムーズにするには、(1)お会計の計算が早いこと、(2)精算のやりとりが早いこと、(3)フードの引き渡しが早いことの3点が挙げられます。

(1)お会計の計算が早いこと

これを満たすには、均一料金とすることが挙げられます。あらかじめ買い上げ点数に応じてお会計の計算をしておけば、個数さえ押さえるだけでいい。「1つだといくら」「2つだといくら」という個数と価格のテーブルを用意することで、簡単に計算結果が得られます。百均のレジと同じですね。

加えて、切りのいい金額に設定することも対応の一つ。500円とか1,000円のような価格設定であれば、個数から簡単に計算できます。

さらに、メニューをひとつに絞り込むことも対応として挙げられます。複数のメニューで複数の価格だと、お会計の計算が複雑になります。フードフェスでは、いつもと違う環境でお会計を計算するため、不慣れさでより時間がかかります。

さがみはらフェスタでは、ラーメンの投票を行う関係もあってか、メニューはひとつで、かつ、500円均一。そのおかげでレジはスムーズでした。

(2)精算のやりとりが早いこと

これは、お金のやりとり。お釣りの金種が少ないほうが、やりとりはスムーズになりますよね。

釣り銭に100円玉や10円玉が含まれると、レジ担当者は渡し間違えないよう神経を使います。そのため、フードフェスでは、切りのいい金額のほうが適しています。

もっといえば、交通系ICカードやスマホを使った決済などであれば、キャッシュが不要なため、釣り銭違いに気を使う必要はありません。しかも、ピッと端末にかざすだけで済みます。

さがみはらフェスタでは、キャッシュでの決済でしたが均一価格であったため、現金の受け渡しはスムーズでした。

(3)フードの引き渡しが早いこと

支払いがスムーズでも、フードの引き渡しで待つようでは、これまたお客さんにとってはストレス。だから、できるだけ迅速に提供できる体制が必要。

例えば、メニューは複数よりもひとつにしたほうが、提供までのプロセスをシンプルにできることが多いでしょう。もちろん、メニューがひとつであっても、提供までに時間がかかりすぎないように、提供までのプロセスの中のムダを事前になくしておくことも重要。特に屋外での営業となるため、いつもと勝手が違いますからね。

ボクが並んだお店では、ラーメンが茹で終わったときに入れやすいように、器をとりやすく並べていました。

このように、フードフェスでは、提供するものをお客さんにいかにストレスなく届けるか、という点が重要。

これ、ビジネスモデルでいえば、「チャネル」の要素に該当します。顧客に対するどのような価値を提供するかにばかり気をとられるでのはなく、その価値をどのように提供するかまで組み立てておく必要があるのです。

最近のマーケティング業界では、お客さんが購入するまでの過程を見える化して対策をうつ「カスタマージャーニー」が注目を浴びているのも、チャネルという要素の具体策のひとつですね。

あなたのビジネスで、お客さんの動線はどこまで検討されているでしょうか。
もしも「良いものさえ提供していれば、お客さんは苦労してでも買ってくれる」なんて思っていると、、、せっかくお腹をすかせているのに、行列が少ないお店で購入されてしまいますよ。

P.S.
ビジネスモデルは、こちらが今や世界標準。9つの要素が有機的に関連していることが一目でわかります。
・アレックス・オスターワルダー、イヴ・ピニュール『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

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