10月31日。今日は、一体、どうしたのでしょうか。周りの人がやたら、鶏肉を少し食べたいと口にしています。特に若い人。子どもまでが鶏肉を欲しがっているのです。それも少しだけ。
あなたも聞いていませんか。ほら、あちらでも「鶏っ、食おうか、ちょいーと」、こちらでも「鶏っ、食おうか、ちょいーと」と。
えっ、違う? ハロウィン??
「トリック・オア・トリート」ですって???
これは失礼しました。アラフィフのボクの若い頃には、そんなイベントは日本にはなかったもので。。。
それにしても、随分と定着したものですね、ハロウィン。なんでも1970年代には原宿で関連商品が販売されていたそうですが、1997年に東京ディズニーランドで始まったハロウィンのイベントから広く普及していったとのこと。
最初は小さく始まっていく中で、どこかのタイミングでブレイクすることは、ハロウィンだけではありません。コンテンツも同じ。
セミナー資料や解説記事、ブログだってそう。いくつか作り出していくうちに、いくらでもアイデアを生み出せるようになります。
その理由は、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせだから。既知の情報が10個よりも100個のほうが組み合わせの数が広がるため、新しいアイデアを生み出しやすいのです。
さらにいえば、その既知の情報も、同じような属性の中よりも違う属性同士で組み合わせたほうがアイデアの斬新さが増します。だから、同じ業種で使われたアイデアよりも、違う業種のアイデアを組み合わせたほうが面白くなりやすいのです。
ボクもセミナー資料は毎回、かなり作り込むようにしています。最初は大変でしたが、ある程度の数をこなしていくと、やがて、それらを組み合わせて新たなものを作り出せるようになっています。
それは、使い回しという作業的な側面もあるものの、その分野では今までなかったような内容も作り出せる質的な側面がほうが大きいです。ボクの例では、所属する事務所の若い年次向けに現場責任者のマインドセットのための研修を新しく作ったときのこと。
C・オットーシャーマー『U理論[第二版]――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』(英治出版)に、視点の位置の話があります。視点が自分という境界内にあるレベル1から、自分の境界線が開かれて自由な視点でより大きなものとつながっているレベル4へと移行することが良いとのこと。これを何とか伝えられないか、また、実践できるようにならないかと考えていました。
そのときに出会ったのが、発売されたばかりのアービンジャー・インスティチュート『自分の小さな「箱」から脱出する方法 ビジネス篇 管理しない会社がうまくいくワケ』(大和書房)という本。自分の利益だけを考えてはいけないとする内容が、視点の位置を変えるきっかけになりそうだとピンときました。
一方で、別のワークショップで、ハーバード大学教育学大学院教授のロバート・キーガンが『なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践』(英治出版)で紹介した免疫マップを使ったことがあります。これが、他人の視点で考えて行動するように変わりたくても変われない深層背景に迫ることができます。
これらの、既存で、かつ、距離が遠いアイデアを組み合わせることによって、2時間のワークショップ型の研修を新しく生み出せました。昨年の初開催に続き、今年は2度目。今年の研修アンケートには、固定概念にとらわれていることに気づいたとのコメントがあったため、期待した結果を得られました。
コンテンツも研修の実施も、積み重ねていくことが大事。ある時点で大きく化けると期待しながら地道に続けていくのです。日本でのハロウィンのように、あなたのキャリアも、積み重ねを通じて、どこかのタイミングでもっとブレイクさせませんか。
P.S.
昔、広告業界の人はみんな読んでいると聞いて手にした本。今でも色あせませんね。
・ジェームス W.ヤング『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)
P.P.S.
まさか、この本をヒントに、ボクが「メンタル・コンフリクト・キャンバス」というツールを創り出せるとは考えてもみなかったです。
・ロバート・キーガン『なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践』