サンタクロース、信じられますか。信じられないとしたら、ビジネスに悪い影響を及ぼすかも。甥っ子と一緒に食事をして、そんなことを感じました。
小学3年生の弟クンは信じているものだから、サンタクロースからのクリスマス・プレゼントを楽しみにすることができます。それに対して、ボクの娘や甥っ子の兄クンは、「そうだよね」と暖かく見守っています。
そんな彼女や彼が、まだキッズの頃。サンタクロースだけではなく、ブラックサンタも信じていました。ブラックサンタとは、ボクが創り上げた架空の存在。
普通のサンタクロースはおもちゃをプレゼントしてくれるのに対して、ブラックサンタは聞き分けの悪い子どもからおもちゃを取り上げます。クリスマスが近づいた時期に、聞き分けが悪いと、「ブラックサンタが来るぞ」というセリフを使ったものです。
その対比がわかりやすかったせいか、ふたりともすぐに悪い振る舞いを改めたものです。ブラックサンタという存在を信じ込んでいたのですね。どちらのサンタも、信じることで成立します。
サンタを信じるといえば、ホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫監督による『彼女が水着にきがえたら』に関連するセリフがあります。
その映画では、織田裕二サン扮する主人公の吉岡文男たちが、大人になっても宝探しをしています。原田知世サン扮するヒロインの田中真理子は、そんな非現実的なことに熱中していることに呆れます。そこに、主人公たちと一緒に宝探しをしている田中美佐子サン扮する高橋裕子に、女の子は男の子よりも早くサンタクロースを信じなくなると言われます。それに続けて、こう話します。
目に見えるもの、さわれるものしか信じられない、馬鹿にさえなれないとしたら寂しいじゃない?
このセリフからボクは、視点の高さの大切さを学びました。視点が低いと、意識を自分の中心を置いてしまいます。他者をおもんばかることができないため、自分が見えるものしか考えられない。
これに対して、視点が高いと、意識を自分の枠の外に置くことができます。たとえ自分に見えなくとも、他者の想いを信じることができるのです。
ビジネスの場でも、誰かが何かを始めようと相談したときに、その相手を信じられるかどうかで、姿勢や態度が変わってきます。
相手を信じられないと、自分の視点だけで物事を判断してしまいがち。その想いに気づくことなく、トンチンカンなことを一方的に話し続けるだけ。
そんな状況だから、信じられない相手やこちらを信じない相手との仕事は、ストレスが溜まります。「こいつ、まだ、そのレベルか」「そんな次元の話をしているんじゃないんだけど・・・」という残念な感じ。
その反対に、信じられる相手だと、「きっと、何か良くしようと考えているのだろう。よし、自分も関わって一緒に良くしていこう」と前向きな姿勢や態度になります。物事がサクサクと進むし、また、良い方向にも動きます。仕事がとても楽しく感じられます。
だから、視点を高く上げられることが重要。自分が気づいていないところで、誰かが良くしてくれていることを信じられるなら、建設的な議論ができるようになれます。そんな意味でも、サンタクロースを信じられるかどうかの質問は、ビジネスの関係を確かめる、ひとつの試金石として使えます。だから、ボクはあなたに聞きます。
サンタクロース、信じられますか。
P.S.
紹介した映画のセリフは、こう続きます。「一瞬でもサンタクロースを信じられたら、素敵じゃない。この本もまさに、それを説くもの。オススメです。
・東逸子 (イラスト)、中村妙子 (翻訳)『サンタクロースっているんでしょうか?』(偕成社)