世代論ってありますよね。なんとか世代はこういう特徴だ、ってやつ。もちろん、その世代に当てはまる人がすべてその特徴というワケではありませんが、大枠として世代を理解するのに役立つことがあります。
先日、知人と世代論で盛り上がったことがあります。当初は、神田昌典サンが著書『インパクトカンパニー 成熟企業を再成長させる、シンプルな処方箋』(PHP研究所)で紹介されていた、ウルトラマン世代とポケモン世代の話を共有していました。
ざっくり言うと、ウルトラマン世代とは、日本の特撮テレビ番組「ウルトラマン」シリーズをリアルタイムで見ていた年配の人たちのこと。正義と悪が明確に分かれていて、また、正義が必ず悪に勝つという価値観。
一方、ポケモン世代とは、ゲームソフトシリーズからアニメへとメディア展開されていった「ポケットモンスター」、いわゆるポケモンをリアルタイムで見ていた若い人たちのこと。ここで繰り広げられる世界とは、正義と悪がいても、最後は仲間になっていく価値観。
こうして成長していく過程で夢中になって見ていた物語に人は影響を受けることから、それが世代論としての特徴になっていきます。ただ、この世代論を話し合っていくうちに、ボクと知人のバックボーンも反映されて、どんどんと広がっていきます。
知人は、本人いわく、ウルトラマン世代。ポケモン世代に近いはずなのですが、勧善懲悪の価値観が基本にあるため、そう主張します。キャリアとしても、自身で研鑽していくことで高みを目指していくタイプ。
そんな知人は、組織の若い人たちのキャリア的なゆるさが気になっていたといいます。特に努力したり、夢を見たりという素振りを見せないことが信じられなかったそうで。しかし、このウルトラマン世代とポケモン世代の話をしたときに、はじめて腑に落ちたといいます。そこで調子に乗ったボクは、ポケモン世代の解釈をどんどんと広げていきます。
「何かアイテムをゲットしなければ自身のレベルが上がっていかないため、自ら努力するなんて感覚はないよ」
「最初は敵っぽくても最後には仲間になっていくから、人間関係に緊張感がない。だから、ゆるいんだよ」
「そういう仲間だけの世界が大事だから、そこに入っていない上司や会社のことなんて気にかけていない。しかし、その仲間の世界が脅かされることはおおごとだから、社会的な問題解決には関心があるんだよ」
アルコールも手伝ってか、好き勝手なことを話していました。ただ、そう話しながらも、ボクが接するポケモン世代のことが言語化できたことは収穫。それが合っている・間違っているは別として、大枠としての世代について理解できたことは、今後の接し方に有益です。
これは飲み会での話ですが、ビジネスでもキャリアでも、話し合うことは、自分が気付いていなかったことを自分で話していたり、相手からそれを聞いたりできるため、思わぬ気づきが得られます。
特に部門ごとに専門性が高まるほどにお互いの交流が少なくなっていくため、その壁を取っ払うには、対話が不可欠。気づきが得られたなら、次のアクションに活かせます。それが何かしらの成果となるため、さらに次のアクションに反映できます。これを繰り返していくことで、ビジネスでもキャリアでも自身の望む状態に近づいていけるのです。
ただし、何でも話せば良いってものではない。安心して自己開示できるように仕掛ける必要もあれば、声の大小にかかわらず誰もが話せるように環境を整える必要もあります。さらには、次のアクションに繋がるように促す必要もあります。このように場を進行していくには、適切なスキルと経験をもったファシリテーターが不可欠。
日本では、「ファシリテーター」という言葉はまだまだ浸透していません。『START INNOVATION ! with this visual toolkit.』(ビー・エヌ・エヌ新社)の著者であるハイス・ファン・ウルフェン氏をもってしても、「ファシリテーターって何だ?」と聞かれると知って、海外でもファシリテーターの用語の認知度が低いと思い知ったものです。
でも、ボクはファシリテーターを名乗っていきますよ。ファシリテーションによって、ウルトラマン世代とポケモン世代との対話を促進できるなら、互いに望む状態に近づけますものね。ファシリテーターが進行を務める場を体験したいなら、お声がけくださいませ。