予約は、お好きですか。飲食店の予約もあれば、旅行の宿や交通チケットの予約もあります。人気が高いお店や旅行先、時期などによっては、予約がなかなか取れない。
ある飲食店は、半年以上も予約が埋まっています。ハワイなどの旅行は、夏休みや年末年始の時期、旅行客が集中するため、予約が殺到し、また、値段も高くなります。でも、それは好きで選んでいるため、ある程度は仕方がないと諦めもできます。
しかし、予約がとれないのが、人間ドックだとしたら。
先日、ボクは、人間ドックの予約を申し込みました。その時期は、確か、期末決算の会計監査が落ち着き始めた5月中旬の頃。そこで、第1希望は1ヶ月ほど先の6月中旬を、また、第2と第3希望はさらに先の6月下旬を提示しました。そうそう、この申込みは、今どき郵送限定という昭和な感じでもありました。
で、返事を待つこと2週間以上。「第1希望日が迫ってくるけど、どうなったんだろう」「仕事の日程も空けとかなきゃならないから、早く決まって欲しい」と思い続けていると、電話がかかってきます。で、希望日では予約ができない、との返事。その理由は、オプションで申し込んでいた胃カメラがすでに埋まっているから。
胃カメラが受けられるのは、8月以降になります。いやいや、それじゃ、こちらの都合に間に合いません。紙を郵送して電話がかかってきた2週間以上の時間を返して欲しいと思いましたよ。他のところを選ぶ機会を逸してしまいましたからね。
確かに、人間ドックの受診は、法的な義務はありません。健康診断なら年1回以上の検査が義務付けられているのに対して、それ以上に診断項目のある人間ドックには義務はないのです。かといって、飲食店や旅行のような娯楽のための予約とも性格が違います。
結局、ボクは8月まで待てなかったため、胃カメラを断念したうえで、6月の日程となりました。バリウム検査は発見率が低いとか、身体に負担をかけるとかで、先進国では採用されていない話を聞くと、ちょっと抵抗がありますからね。残念です。
そもそも、人間ドックの目的は、現在の健康状態を明らかにして、健康の異常を早期に発見し、また、健康を保持すること。健康異常の早期発見を目的にしているならば、2ヶ月も3ヶ月も待たせることのほうが異常。目的の達成を阻害している状態ですからね。
もちろん、規模や施設などの対応状況もあるため、混雑することは承知しています。そこを空けろとも言っていなければ、もっと詰め込めとも言っていません。ボクが望むのは、2ヶ月も3ヶ月も待たせる状況にあるなら、受診者がそれを早く知ることができる体制であってほしいこと。
飲食店や交通チケットなどでは、インターネットを使った予約システムは当たり前。予約がとれないことも、予約がとれるとしたらいつなのかも、手元のスマホでわかる時代です。こういうシステムが、人間ドックや健康診断の世界にも導入されると嬉しい。健康異常の早期発見という目的を達成することにも繋がります。
ビジネスの方向性とは、顧客の快を増やすか、または、不快を減らすかの2つ。人間ドックや健康診断の業界では、予約が何ヶ月も先になってしまう不快や、そのことが2週間以上もかけなければ把握できない不快が横たわっています。このような状況を解決できれば、多くの人の役に立ちます。
この話を聞いて、「そうだ、そうだ」と頷いてくれた、あなた。ぜひ、立ち上がって、人間ドックや健康診断の予約システムを作り上げ、また、普及させてください・・・なんてことを思ってネット検索してみると、すでにあるじゃないですか、人間ドックや健康診断に特化した予約システムが。ってことは、あの施設が導入していないだけか。
これ、ビジネスモデル的には、予約システムという価値提案が、人間ドック施設という顧客に届いていないということ。つまりは、チャネルの問題。ね、誰か、早く営業に行ってきて。