カクテル、飲んでいますか。お酒に、ジュースや別のお洒などを混ぜた飲み物。厳密な定義では混ぜる意味しかないため、ジュースとジュースの組み合わせでもカクテル。
ジンをベースにするなら、「カクテルの王様」と呼ばれるマティーニをはじめとして、ジントニックやジンフィズなどがありますね。ボクが好きなのは、ギムレット。そうそう、シンガポールのラッフルズ・ホテルで、シンガポール・スリングを飲んだこともあります。
カクテルは、お洒落の代名詞。だって、服やネイルなどのように、手にするお酒とまでカラーコーディネートしたものだから。女性の服の色に合わせたカクテルを注文するのが、都会の遊び人としての作法と呼ばれていました。水色の服には、水色のカクテルを。
当時、そう聞いて、お酒に勉強熱心なボクは、カクテルのシェーカーを購入。ステンレス製の3ピースシェーカー。最も大きいパーツで、お酒や氷を入れる「ボディ」、氷やフルーツなどを濾すための「ストレーナー」、一番小さなパーツで蓋の役割をする「トップ」から構成された道具。
道具を揃えたら、次は材料。ちょうど、森高千里サンがサントリーのアイスジンのCMに出演していたことから、ジンを買います。あの森高サンがCMソング「GIN GIN GIN」で「なんでもMIX」と歌うなら、ボクもミックスしなければならない。これは義務。なので、ジュースやら違うお酒やらと混ぜ合わせていたものです。
そんな風に、自宅でカクテル作りに勤しんでいたことを、当時のクライアントに世間話をしていたときのこと。経理部長サンもカクテル作りにハマっていたことがあったため、会話がはずみました。
今でも覚えている話が、シェーカーの振り方の違い。縦に振るスタイルと横に振るスタイルとがあるとのこと。流派が違うんだと力説されていましたっけ。
で、何と混ぜ合わせているのかと聞かれたときに、「グレープフルーツ」と答えました。すると、経理部長は「自分の若い頃には、そんなハイカラな果物なんてなかった」と言い返されました。確かに、時代によって入手できる素材は違うため、作るカクテルの種類にも影響を及ぼしてきます。
これ、反対に言えば、挑戦できるものが目の前にあるなら挑戦すべき、ということ。相対的に恵まれている環境にあるなら、それに挑戦しないことはもったいない。ビジネスやキャリアと同じですね。
アイデアは組み合わせだと言ったのは、アメリカ広告代理業界の会長などを歴任したジェームス W.ヤング氏。著書『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)では、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と言っています。
このように、ビジネスやキャリアでも、どんどん新しいものと掛け合わせていくことで、何かを生み出すことにトライすることが大事。カクテル作りと同じで、「これと組み合わせてみよう」「あれとの配分を変えてみよう」などと挑戦していくのです。それがイノベーションに繋がっていく。
ビジネスでは、成長が早い人と成長が遅い人とがいます。ボクの観察では、成長が遅い人は、前回の仕事や前任者の仕事をそのまま踏襲しています。一方、成長が早い人は、少しでも使い勝手が良くなるように、次の担当者がやりやすくなるように少しでも工夫しています。
その工夫は、別の作業でうまく行っているものを組み合わせたもの。作業のミックスについてトライ・アンド・エラーを繰り返しているのです。もちろん、思うような成果が得られないこともあります。しかし、そのトライが多ければ、自然と成功確率は高まります。だから、成長が早いのです。
もし、1年前と同じやり方で仕事をしているなら、成長が止まっている可能性があります。ほんの少しでも良いので、カクテルのように、他の何かと組み合わせてみませんか。そんな仕事のコーディネートは、ビジネスではお洒落ですから。