今日は、日曜日。明日の月曜日には、週初めの会議が予定されている人もいるのではないでしょうか。
それなりの人数を集めて会議を行うからには、成果で挙げたいところ。方向性が見えない中で、次回に繰り越すなんて停滞は避けたい。何も進みませんからね。
今日、読んでいた本に、ヒントになる記述を見つけました。物語創作の世界的権威であるロバート・マッキー氏による『ダイアローグ 小説・演劇・映画・テレビドラマで効果的な会話を生みだす方法』(フィルムアート社)。小説や演劇といったストーリーの中で、登場人物に声を与えることを解明した本です。
こうしたドラマでは、登場人物が会話を繰り広げます。この会話で言葉になったこと、あるいは、あえて言葉になっていないことによって、ストーリーが前に進んでいきます。反対に、ストーリーが前に進まなければ、観客や読者は永遠にそれに付き合わなければならない。そんな苦行に付き合ってくれる人はなかなかいません。
ということは、ドラマの中の会話には、前に進める工夫があるハズ。すると、ストーリーを前に進めさせるテクニックがしっかりと記述されていましたよ。それは、「転換点」として紹介されていました。転換点とは、あるシーンで劇的に転じる瞬間のこと。これを生じさせるテクニックは、次のとおり。
転換点は、行動または発覚のどちらかによってのみ生じる。出来事が大きく動くのは、すばやい直接的な行動が起こされるときか、秘密や知られざる事実が発覚するときだ。
会話では、行動と発覚のどちらによってもストーリーを転換できるといいます。つまり、これを意図的に使えば、ストーリーは前に進むってワケ。
会議が停滞するのは、行動か、発覚か、その両方がないから。ファシリテーションを嗜む身として、この2つが会議に大事なことはよく理解できます。
一見すると、発覚は、会議に関係ないと感じるかもしれません。会議の議題に秘密や知られざる事実なんてものはないと。しかし、マーケティングの世界には、この秘密があります。それは、インサイトと呼ばれる考え方です。
インサイトとは、顧客が何を考えているかを考えること。調査することもあれば、想像することもあります。もちろん、それらを組み合わせることも。顧客の内側に深く潜り込むことで、本当に望んでいるものを理解するのです。
これ、秘密や知られざる事実に相当しますよね。こうした顧客のインサイトに辿り着くと、現状の停滞したビジネスを突破することができる。社内に目を向ければ、組織のメンバーのインサイトでも同じ。それを議題とした会議で停滞した状況を打破できます。
また、行動については、ファシリテーションでは重要な要素。会議の場においては、誰かの行動が起こされるのではなく、会議のメンバーに行動を起こさせるのです。
具体的には、「じゃあ、どうする」を検討する。過去ではなく、将来に目を向けることで発想を広げていくのです。
もちろん、原因分析が必要な局面もあります。また、それがインサイトを探ることに繋がることもあります。それを踏まえて、「じゃあ、どうする」と会議のメンバーに問うのです。
このように、停滞した会議を前に進めるなら、インサイトを得ているかという発覚と、「じゃあ、どうする」と問いかけて促す行動の2つが必要。ストーリーで使われるテクニックを、こうして会議にも使ってみる。明日の会議で、この2つから検討してはいかがでしょうか。
P.S.
まさか、この本が、拙著『ダイアローグ・ディスクロージャー』の各章の頭で、1ページのショートストーリーを掲載するときに役立つとは思いませんでした。
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