Business model

コンテンツは片手の中で提供しろ

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

最近、音楽配信サービスで聴ける曲が充実していますね。ボクが使っているのは、アマゾンのプライム・ミュージック。本をよく買うためにAmazonのプライム会員になっています。すると、このサービスを追加費用なしに使用できます。

 少し前まで、ボクが聴きたい曲は、なかなか用意されていませんでした。また、用意はされていても、追加費用が必要なアマゾン・ミュージック・アンリミテッドに加入しなければならない。そのため、聴ける範囲で楽しんでいました。

 ところが、ここ数ヶ月は、ボクのテイストに合う楽曲がどんどんと聴けるようになっています。しかも、以前に発売された曲ばかりではなく、新しく発売されている曲までプライム・ミュージックで聴けるのです。

 昨日、今日と聴いていたのは、globe。その前は、小沢健二サン。この辺りは、少し前まで検索してもヒットしなかったハズ。それが今やラインナップに加わっている。

 その前の前は、安室奈美恵サンの昨年のライブの音源があります。Perfumeのベストも一部は聴ける。最近のものやベスト版などがこうしてリストに並んでいるのです。

 こうした体験から学んだことは、2つあります。

 1つは、音楽配信サービスのラインナップにない曲は存在しないのと同じ。そのプラットフォームで聴ける楽曲しか利用しない結果、聴けない楽曲はユーザーの意識の中に存在しなくなるのです。

 このことは、すでに多くの人が体験しています。それは、グーグルでの検索。その検索でヒットしない、あるいは、上位に現れない情報は、検索している人が辿り着くことがない。現実には、ネットのどこかに保存されていても、グーグルの検索にひっかからなければ、その情報は存在しないに等しい。

 このように、何かのプラットフォームで検索してもヒットしない情報は、そのプラットフォームのユーザーにとって存在しないことを意味するのです。ここから、人目につくことをしなければ、ビジネスを広めていけないことを学べます。

 もう1つの学びは、定額サービスゆえの特徴。アマゾンのプライム・ミュージックは、プライム会員が使用できるサービス。つまり、プライム会員として毎月支払う定額の料金で、音楽を聴いています。つまり、追加の費用がかからない。

 楽曲に対してお金を払うのではなく、一定期間のサービスに対してお金を支払っています。いくら聴いても追加で支払うことがない。このことは、いろんなお試しがしやすくなることを意味します。

 実際、ボクも、楽曲ごとに買うしか選択肢がないなら聴くことがない楽曲であっても、定額課金で追加の支払いがないなら聴いてみようと思う楽曲もあります。用意されているプレイリストで聴く楽曲も、自分では選んでいないという点では似ていますね。

 この2つの学びを踏まえると、ミュージシャンの方々は、とにかく楽曲を配信サービスの定額課金で聴けるようにしたほうが、聴いてもらえるチャンスが増える、ということ。認知してもえなければ、一度、楽曲に触れてもらえなければ、その先のファンに進むことはありません。マーケティングの発想でいえば、迷うことなく、定額の範囲で聴けるほうが良い。

 こうして聴いてもらえれば、その後、ライブに足を運ぶこともあれば、グッズやサービスを購入することもあります。これまでのCDをフロントエンドと位置づけることで、バックエンドへと導いていくのです。

 ユーザーの音楽への接し方が10年前とはガラリと変わっているため、提供側も変化についていく必要があります。でないと、ユーザーは他の娯楽に移ってしまう。しかも、スマホの画面の中だけで。ビジネスもマーケティングも、片手の中で繰り広げられているのです。

 ボクも、片手の中でコンテンツを提供できるようにしないと。あなたのビジネスは、大丈夫ですか。

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