2019年1月31日に、有価証券報告書の記載内容を規定する「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正が公布・施行されました。その中のひとつに、有価証券報告書の前半部分における記述情報の充実があります。次のとおり、「MD&A」と呼ばれる箇所をはじめとした記述を充実していくことが求められています。
・ 経営方針・経営戦略等について、市場の状況、競争優位性、主要製品・サービス、顧客基盤等に関する経営者の認識の説明を含めた記載を求めることとします。
・ 事業等のリスクについて、顕在化する可能性の程度や時期、リスクの事業へ与える影響の内容、リスクへの対応策の説明を求めることとします。
・ 会計上の見積りや見積りに用いた仮定について、不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響等に関する経営者の認識の記載を求めることとします。
この改正は、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用されます。つまり、3月末決算会社では、来年の6月に提出する有価証券報告書から、前半部分の記載について見直す必要があるのです。
こうした記述情報の充実は、金融審議会からの「ディスクロージャーワーキング・グループ報告 -資本市場における好循環の実現に向けて-」を受けて改正されました。そのポイントを一言でいうと、「経理部門の有価証券報告書」から「経営者の有価証券報告書」へとパラダイムシフトです。
パラダイムシフトできないと、財務諸表の利用者の要望に応えられない結果、読まれない有価証券報告書を作り続ける状況になりかねません。そのためには、経営者の考えを記述情報に盛り込んだ、より充実した開示書類を作成していけるよう、検討する必要があります。また、経営者の関与と他部門(連結子会社を含む)の協力が極めて重要です。すると、次のような状態が求められます。
・そもそも考える時間を確保できること
・記述情報を求める改正の背景について本質を理解できていること
・疑問点を解消できること
これらを達成するための「場」として、この度、『有報・記述情報の勉強会』を開催することとしました。当日の参加者から、その後の社内展開にあたって後日の視聴を求める声があったことから、勉強会の動画を閲覧できるようにしました。
===コンテンツ===
第1部 改正内容と背景 (48:51)
第2部 5つの記述情報 (45:54)
第3部 今後の取り組み (29:08)
●閲覧するには、こちらをクリックする。
===ここまで===
ディスクロージャーワーキング・グループの審議の過程から、記述情報の作成に参考となる部分を共有していきます。これを受けて、参加者自らがその場で、財務諸表の利用者が求める開示への対応を考えていきます。
「経営者の有価証券報告書」にシフトすることで、投資家に注目され、かつ、対話が促進する状況が必要だと考えています。そのためには、今、改正の趣旨や内容、期待される対応について整理しておくべきと考えます。本勉強会に動画をご活用ください。