食事は楽しい。しかも、たくさん食べられるのは幸せ。世の中にはいろんな価値観の方がいらっしゃいますが、ボクはそういうタイプ。後輩と飲みに行っても、ボクのほうが食事の量は多い。
食事の量が多いことを表すときに、「デカ盛り」と呼ぶことがありますね。大盛りよりも多めの盛り付けを指します。この「デカ」って、一体、何を指すのでしょうか。
そりゃ、「でかい」のことだろって思っていませんか。非常に大きいという意味で、でかい盛り付け。それを省略しての「デカ盛り」だと。
しかし、ですよ。この「デカ」が英語だとしたら、話は変わります。非常に大きい、なんて感覚的な表現ではなくなる。数値として何倍なのかが明確なのです。そのことがわかるのが、「ユニコーン企業」にまつわる用語。
ユニコーン企業とは、評価額が10億ドル以上で非上場でもあるベンチャー企業のこと。ボクはビジネスモデルについて講義を行う機会があることから、定期的にユニコーン企業の推移をウオッチしています。
ユニコーン企業と一口で言っても、その規模はさまざま。スタートアップ企業やベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析するCB Insightsによれば、2020年6月現在のユニコーン企業の数は、476社。
そのうち評価額がジャスト10億ドルの企業は146社と、全体の3割を占めています。それでも、1ドル100円換算で1,000億円のため、大きな会社。
しかし、10億ドルとは評価額の桁が違うユニコーン企業も存在するため、規模によって別の呼び方をする場合があります。それが「デカコーン」。ユニコーンの接頭辞「uni」が1を示すため、その10倍であることを示す「deca」を用いるのです。
2020年6月時点のデカコーン企業は、25社。1位は、tiktokを運営するバイトダンスで750億ドル。1ドル100円換算で、7兆5,000億円。今日の2020年6月24日現在、日本の上場企業の時価総額ランキングで第8位のKDDI㈱が7兆3,249億円に匹敵する規模。非上場のベンチャー企業といっても、とんでもない規模なんです。
ちなみに、さらにデカコーンの10倍は、「ヘクトコーン」と呼ばれます。「uni」の100倍であることを示す「hecto」を用います。天気予報で使われる「ヘクトパスカル」は「パスカル」の100倍のこと。
このように英語では、数値として規模が明確な接頭辞があります。もし、「デカ盛り」が「deca」なら、普通盛りの10倍となります。さすがに、その量で提供しているお店はないでしょう。
となると、10倍の量を提供していない時点で、日本語の「でかい」の省略か、あるいは、「deca」の意味で用いていてもイメージとして使用しているかのどちらから。ただ、大きなものを表現する音が、日本語でも英語でも似ているのは面白いですね。
まあ、10倍の量が出てきても、ボクには無理。20代の頃なら、お弁当を2つに、プラスアルファおかずを楽々と食べていたのですが、今ではお腹がはち切れそう。もっとも最近は、その量を買おうとも思わなくなりました。少しは大人になれたかな。
そういや、「メガ盛り」なんて言葉もあります。この「メガ」が接頭辞の「mega」なら、普通盛りの100万倍を意味します。普通盛りを1日3回として、食べ終わるまでに913年を要する計算。「decaバンブー」でとどめることにしておきます。