文豪ゲーテが開示責任者なら、自社に固有の情報を記載したでしょう。「一つのことが万人にあてはまりはしない。めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ」と話していたのですから。
そこで、早期適用されたKAM(監査上の主要な検討事項)の事例から、財務報告のあり方を考える連載が、この「財務報告の流儀」シリーズ。今回から、2020年12月期の事例を取り上げていきます。
今回は、見積りと判断の違いがポイントです。
(1)事例
- 証券コード 4519
- 会社名 中外製薬㈱
- 業種 医薬品
- 開示書類 有価証券報告書
- 決算日 2020年12月31日
- 監査法人 有限責任あずさ監査法人
- 会計方式 IFRS
(2)早期適用によるKAM
連結財務諸表の監査報告書に記載されたKAM
- 利用可能でない製品関連無形資産の減損の判定に関連する製品化の可否に関する判断の妥当性
- エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの取引の移転価格調整に係る判断の妥当性
個別財務諸表の監査報告書に記載されたKAM
- エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドとの取引の移転価格調整に係る判断の妥当性
(ただし、連結のKAMと同一内容であるため、記載が省略されている。)
(3)今回の事例から学ぶべきポイント
- 見積り開示会計基準への的確な対応のために知っておきたい用語の使い分け
- 経営者の判断に絞り込まれたKAMの優良事例
- 単体KAMの省略規定に関する表記の違い
ここから先の解説は、野次馬的に重箱の底を突くような人には向いていないため、有料コンテンツとしてハードルを設けています。いかに財務報告を良くしていくかについて真摯に向き合っている人に限り、ご購読ください。
(注)2020年3月期の早期適用事例の分析については、書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』という形でまとめております。