Accounting

なんだったんだ、収益認識の5ステップ

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いったい、なんだったんだ、収益認識の5ステップ。そんなモヤモヤを共有します。

2021年6月の第1四半期の目玉は、なんと言っても、収益の分解情報。異論は認めるけど、聞く耳を持たない。

だって、ホラ、どの企業も必ず書くものじゃないでしょ。開示目的に照らして、自社で収益の分解情報が必要かどうかを判断しなければならない。極めて個性が色濃く出るのが興味深いのです。

そんな中、ちょっと気になる表現があります。それは、収益の分解情報を開示する際に、「一時点で移転される財」「一定の期間にわたり移転されるサービス」といった情報を開示している事例が少なくありません。

例えば、税効果会計について説明されているときに、「繰越欠損金の回収可能性」と記載されるほどに気持ち悪い。正確には、「税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性」ですよね。言葉の使い方が微妙に違うと、ゾワゾワしてしまいます。そんなゾワゾワ感を収益の分解情報でも感じるのです。

というのも、収益の認識って、例の5ステップに基づき、履行義務が充足されるかどうかで2パターンに分けていたでしょ。財やサービスの移転という言葉は一切用いずに、履行義務が充足されるかどうかを散々、検討してきたハズ。

それに従うなら、「一定時点で履行義務が充足される財」や「一定の期間にわたり履行義務が充足されるサービス」という記載になるべき。5ステップに馴染んでいるほど、ゾワゾワ感がなくなります。

しかし、現実はそうじゃない。むしろ、そうは書かれていないのです。ゾワゾワ感は増すばかり。

「あれ、そんな言い方、収益認識会計基準はしていたっけ」と不思議に思い、ASBJサンによる『詳解 収益認識会計基準』をペラペラとめくっていたら、見つけましたよ、出典元を。適用指針の[開示例1]に、ずばり、そう書いてありました。皆さん、これに基づいていたんですね。

確かに、収益認識会計基準には、財又はサービスを顧客に移転する、と記載されている個所はあります。ただし、それは契約の話をしているときであって、履行義務の充足を話しているときではない。レイヤーが重なり合っていなきゃ、言葉のムダ使い。

気軽にもっと言葉を使えばいいよ、と言われそうですが、気になる性分でして。まだまだ収益認識会計基準とは格闘せねばなりませんよ。そんなmy 7DAYSです。

P.S.

ボクの好きなバンドに、BARBEE BOYS(バービーボーイズ)があります。代表曲のひとつが、「なんだったんだ? 7 DAYS」。今回のブログ記事に、歌詞が散りばめられています。お気づきになりましたか?

才能を見抜く力前のページ

寄稿「英国の開示事例から学ぶ 収益認識基準への監査役等の対応ポイント」次のページ

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