一昨日の2025年2月13日、「内部監査部門必見!実務で使える『会計不正リスク対応セミナー』」を開催しました。本セミナーでは、私が開発した「業務プロセスの単純化モデル」を活用することで、企業の財務報告における会計不正リスクへの具体的な対応策を提示しました。
会計不正リスクの発生箇所の特定
「業務プロセスの単純化モデル」は、売上、仕入、在庫の各業務プロセスにおいて、会計不正が発生しうる6つの箇所を特定するものです。このフレームワークを活用することで、実際の不正事例において、どこで不正が発生したかを体系的に分析できます。
セミナーでは、この6つの箇所ごとに、具体的な会計不正のリスクを例示することにより、参加者が自社における潜在的なリスクをより正確に認識できるよう支援しました。さらに、リスク対応策として効果的な統制の具体例も紹介することで、受講者が自社の内部統制の現状を評価し、また、不足や脆弱な統制の有無を検討できるようにしました。
不正リスク分析ツールの提供
本セミナーでは、より簡便に分析を行うために、次の2つのツールを提供しました。
- (1)不正事例の解析シート(A4サイズ1枚)
受講者はシートに記入することで、不正事例ごとにどのリスクが顕在化したかを明確に把握できます。また、再発防止策が、想定されたリスクへの統制の例示と整合しているかどうかも確認できます。
- (2)解析結果に基づく検証手続立案シート(A4サイズ1枚)
受講者は順に記入することで、適切な検証手続を具体的に立案できますこれにより、受講者は記入を進めるだけで、検証手続を体系的に立案し、かつ、即座に実務に適用できるようになります。
情報の流れに着目した会計不正リスクへのアプローチ
本アプローチの基盤には、情報の流れに着目するという視点があります。社内の業務プロセスでは、関連する情報が会計システムへと流入する構造を持っています。会計不正は、この情報の流れを意図的に変えることで発生するのです。
例えば、商品の数量を本来は10個のところ20個に変更する、または、単価を本来は10,000円のところ50,000円に変更するといった操作が挙げられます。情報の流れに着目することで、特定の不正手口に依存せず、不正の有無を検討することが可能となります。特に、不正の兆候が表面化しにくい平時においては、不正の手口を推測することが難しいため、このアプローチは極めて有効です。
セミナー参加者からの評価と今後の展望
本セミナーでは、2024年に発覚した4つの会計不正事例を紹介しました。その中には、2024年12月や2025年1月に公表された調査報告書も含まれています。これにより、参加者は直近の企業環境における不正の実態を深く理解するとともに、実践的な対応策を学ぶことができたと考えています。
セミナー後のアンケート結果では、回答者全員から最高評価をいただきました。特に、不正事例に基づき、具体的な監査手続の構築までを説明した点が有益だった旨のコメントが寄せられました。このことから、本アプローチが理論的にも実務的にも有用であることが裏付けられています。
今後も最新の不正事例を分析しつつ、内部監査や経理部門の実務に役立つセミナーを継続的に提供する予定です。会計不正リスクの抑止と企業のガバナンス強化に寄与できるよう、さらに実践的な内容を充実させていきます。