税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉

 

繰延税金資産の回収可能性について適切な判断を行うために

「この『繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針』は、規定された内容が極めて伝わりにくい・・・」

そのように感じたのは、平成27年6月9日に開催した「税効果サミット」でのこと。税効果サミットとは、筆者が当時のブログ「P.S.バンブーブログ Empathy」を通じて呼びかけた、企業会計基準適用指針公開草案第54号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」に関する勉強会です。

それは、この公開草案に強い関心をもった方が少人数で集まって話し合うことによって、懸念している事項を共有したり、公開草案で見直すべき点を検討したり、企業会計基準委員会にコメントを出したりと、参加した者が意見を交換する場です。

この税効果サミットは、公開草案がリリースされてちょうど2週間後に開催しました。少人数でありながらも財務諸表の作成者、利用者、監査人という思いがけない組み合わせで集まれたからこそのダイアログに発展しました。

従来からの相違や規定が指し示す内容について議論する中で、ウェブキャストの閲覧や委員会への傍聴を通じて企業会計基準委員会における審議の過程をウオッチしてきた筆者から、適用指針の設計思考や規定の構造を説明しました。

すると、参加メンバーは一同に「そんな取扱いになっているとは、規定の文面だけでは読み取りにくい」と唸りだしたのです。

しかし、その参加メンバーは、こうした勉強会の呼びかけに、しかも告知から開催まで短期間の状況で集まっています。税効果会計について強い関心を寄せていることから従来の税効果会計の取扱いについて熟知しているにもかかわらず、この適用指針の規定からは設定の意図を把握しづらいと口にするのです。

このときに、「この適用指針は、規定された内容が極めて伝わりにくい」と確信するに至りました。

税効果会計について知見のある者でさえ適用指針を読んでも従来の取扱いから大きな変化がないと受け取ったのであれば、実務に追われて十分に理解する時間がとれない担当者はなおのこと適用指針の意図を理解しづらいでしょう。

繰延税金資産を適切に計上できない結果、監査人から指摘を受けて決算作業が手戻りする可能性も考えられます。

そこで『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』では、従来からの変更点にとどまらず、適用指針そのものについて真に理解できるよう、多くの想定事例や図表も含めて解説しています。

これによって、適用指針の設計の意図を理解するとともに、企業の状況に応じた繰延税金資産の計上額の見積りが行えることが期待できます。

 

適用指針の設計思考

 

適用指針は、従来の取扱いから設計思考が180度反対になっています。従来は、日本公認会計士協会から公表された監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(以下、「66号」という)が実務上のガイドラインとして機能してきました。この66号は監査上の取扱いであったにもかかわらず、結果的に会計上の実務指針としての役割も果たしてきました。

66号では、まず企業が例示された5つの分類のいずれかに該当するかを判定し、次にその状況に照らして将来における課税所得の発生の水準を予測し、最後にその予測に基づくと「一般的に繰延税金資産の回収可能性をこう判断する」という、演繹的な思考で設計されていました。

しかし、適用指針は、66号とは反対に、帰納的な思考で設計されています。つまり、「繰延税金資産の回収可能性をこう判断しよう」を出発点として、それを導くために必要な条件を「要件」として設定したのです。

これは、適用指針の開発の過程でさまざまな方向性が検討されたものの、結果的には66号の5分類を採用する方針によって適用指針が開発されたためです。よって、66号での5分類に応じた繰延税金資産の回収可能性の判断が出発点なのです。

また、このような設計思考の下で、適用指針は66号に対する問題意識に対応していきます。具体的には、「過去を過度に重視していたこと」や「硬直的に運用されていたこと」、「一律的な取扱いが示されていたこと」に対応することによって、繰延税金資産の回収可能性について適切な判断を促すように規定化しています。

この結果、繰延税金資産の回収可能性を判断する過程は分類判定と計上見積りの2つフェーズに分かれ、加えて、分類判定フェーズでは要件と適用指針16項とが設定され、また、計上見積りフェーズでは原則的な取扱いと容認された取扱いとが設定されました。

これらが設定された意図は、66号から180度反対になった適用指針の設計思考を理解していなければ、十分に汲み取ることはできないでしょう。

 

本書の特徴

 

『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』では、適用指針の設計思考を説明したうえで、66号への問題意識に対応した次の3点について解説や例示を展開している点が特徴として挙げられます。

1点目の特徴として、企業の分類を判定する要件の構造を示しています。それぞれの要件について内容や性質、属性から充足の関係や判定順を解説しています。また、これらを踏まえて「分類判定チェックリスト」も掲載しています。

2点目の特徴として、いずれの要件にも合致しない場合の取扱いについて例示しています。この場合には、適用指針16項に示されているとおり、過去の実績、現在の見込み、将来の予測を総合的に勘案することによって、分類1から分類5までのいずれかに判定しなければなりません。

この16項に基づく判定について、現状で想定しうる事例を発生パターンとともに説明しています。また、要件の合致と16項による判定を踏まえて、分類が変更する事例も解説しています。

3点目の特徴として、繰延税金資産の計上額を見積もる際に、原則的な取扱いよりも多額に計上することが容認された取扱いについても例示しています。この場合に求められる「合理的な説明」について、現状で想定しうる事例を解説しています。

 

これらの特徴は、次の経験と実績から生み出されています。それは、適用指針に関する企業会計基準委員会や税効果会計専門委員会の審議を傍聴してきた経験と、拙著『税効果会計における繰延税金資産の回収可能性の実務』(中央経済社)(以下、「66号本」という。)で66号に記載された規定をさらに実務的に掘り下げて言語化してきた実績です。

その結果、適用指針の本文や結論の背景には十分に書ききれていない思考や内容について解説していると考えています。

また、企業会計基準委員会に対して公開草案へのコメントを提出することによって適用指針における規定の解釈を明確にした点も、『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』の解説に反映しています。

 

本書の構成

 

この本は、次のとおり、9章と補章から構成されています。

 

第1章 66号への問題意識の高まり」

この章では、なぜ「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の設定が必要であったのかについて解説しています。

これによって適用指針がどの点に対応しようとして設定されたかを理解することができます。

第1章 66号への問題意識の高まり
 1.適用指針への移管
  (1) 66号から適用指針へ
  (2) 66号が公表された背景
  (3) 監査上の取扱いとしての位置付け
  (4) 公表当時の状況での役割

 2.66号の設計思考はトゥールミン・モデル
  (1) 過去の実績に基づく判断
  (2) 66号に基づく3つのステップ
  (3) トゥールミン・モデルへの当てはめ

 3.問題意識の浮上
  (1) 過去を過度に重視していたこと
  (2) 硬直的な運用されていたこと
  (3) 一律的な取扱いが示されていたこと

 4.3つの象徴的な出来事
  (1) IFRSへのコメント
  (2) IFRSの適用事例
  (3) 66号の廃止要望

5.適用指針の公表に至る開発の過程
  (1) 新規テーマ提言と評価・調整
  (2) 全般的な移管に向けての審議
  (3) 繰延税金資産の回収可能性に関する審議
  (4) 適用初年度の取扱いと開示についての紛糾
  (5) 公開草案とコメント募集

 

第2章 適用指針の設計思考

この章では、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」がどのように基準化されたのかについて説明しています。

従来の66号との設計思考の違いから、適用指針の規定構造を把握することができます

第2章 適用指針の設計思考
 1.会計基準化を背景とした設計
  (1) 対応の方向性
  (2) 適用指針における2つのフェーズ
  (3) 適用指針の設計思考
  (4) 消えた分類廃止論
  (5) 2つのアプローチ
  (6) 企業の分類の必須化

 2.分類判定フェーズと16項判定
  (1) 「要件」の設定
  (2) 要件の隙間には16項判定
  (3) 要件からの乖離度が意味するもの
  (4) 参考とすべきは66号
  (5) 分類判定チェックリスト

3.計上見積りフェーズと合理的な説明
  (1) 原則的な取扱いとしての繰延税金資産の計上額
  (2) 容認された取扱いとしての「合理的な説明」
  (3) 意義が薄れた「企業の分類」

 

第3章 回収判断に必要な考え方

この章では、繰延税金資産の回収可能性を判断するために必要となる2つの観点について解説していきます。

また、実務を具体的にイメージできるように、適用指針が規定している判断手順に加えて、ワークシートも例示しています。

第3章 回収可能性の判断に必要な考え方
 1.スケジューリング
  (1) スケジューリングの定義
  (2) スケジューリング不能な一時差異
  (3) 解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異
  (4) 償却資産の減損損失に関する将来減算一時差異の取扱い
  (5) 役員退職慰労引当金に関する将来減算一時差異の取扱い
  (6) 限定列挙か、例示列挙か
  (7) その他有価証券の評価差額の取扱い

 2.一時差異等加減算前課税所得
  (1) 定義
  (2) 適用指針の[設例1]から学ぶこと
  (3) 見積りの仕方

 3.回収の源泉
  (1) 規定の内容
  (2) 収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得
  (3) タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得
  (4) 将来加算一時差異

 4.比較検討の手順
  (1) スケジューリングの実施
  (2) 将来加算一時差異との相殺
  (3) 一時差異等加減算前課税所得との比較検討
  (4) 評価性引当額の控除
  (5) 実務におけるワークシート

 

第4章 分類1の詳細解説

第4章から第8章にかけては、分類1から分類5までについて詳細な解説を行っています。繰延税金資産の回収可能性の判断過程を分類判定フェーズと計上見積りフェーズとに区分したうえで、分類を判定するための要件の構造や留意点、繰延税金資産の計上にあたっての合理的な説明などについて例示とともに説明しています。

規定の内容だけではなく、それをさらに掘り下げた内容についての私見も提示しているため、実務上の論点についての判断指針が持てるようになると期待できます。

第4章 分類1の詳細解説
 1.原則的な取扱いとしての繰延税金資産の計上見積り
  (1) 分類1の全体像
  (2) 誤解
  (3) 66号よりも該当する可能性あり

 2.分類判定フェーズ
  (1) 分類1と判定するための要件
  (2) 課税所得の十分発生
  (3) 課税所得の十分発生の水準と実証データ
  (4) 決算資料として必要な内容
  (5) 経営環境の著しい変化の取扱い
  (6) 定性的な検討にフレームワークを活用
  (7) 一覧ツールとしての「経営環境ピラミッド」
  (8) 16項判定

 3.計上見積りフェーズにおける個別論点
  (1) タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の見積額
  (2) 解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異
  (3) 固定資産の減損損失に係る将来減算一時差異
  (4) 役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異
  (5) その他有価証券の純額の評価差損に係る一時差異
  (6) 繰延ヘッジ損失に係る一時差異

 

第5章 分類2の詳細解説

第5章 分類2の詳細解説
 1.原則的な取扱いとしての繰延税金資産の計上見積り
  (1) 全体イメージ
  (2) スケジューリング可能な将来減算一時差異
  (3) スケジューリング不能な将来減算一時差異
  (4) 3つの計上ルート

 2.分類判定フェーズ
  (1) 分類2と判定するための要件
  (2) 課税所得を用いた判定
  (3) 「課税所得」に有税処理の影響なし
  (4) 「臨時的」が意味する内容
  (5) 課税所得の安定発生が想定している収益力
  (6) 課税所得の発生水準に応じた2つの帰結
  (7) 重複判定回避の要件(欠損なし)
  (8) 分類判定の具体的な作業
  (9) 16項判定

 3.容認された取扱いによる繰延税金資産の計上見積り
  (1) 容認された取扱いが認められる理由
  (2) 該当するケース
  (3) 残余課税所得の考え方
  (4) 適用指針で例示されていない事項

 4.計上見積りフェーズにおける個別論点
  (1) タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の見積額
  (2) 解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異
  (3) 固定資産の減損損失に係る将来減算一時差異
  (4) 役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異
  (5) その他有価証券の純額の評価差損に係る一時差異
  (6) 繰延ヘッジ損失に係る一時差異

 

第6章 分類3の詳細解説

第6章 分類3の詳細解説
 1.原則的な取扱いとしての繰延税金資産の計上見積り
  (1) 全体イメージ
  (2) なぜ原則的な取扱いに5年制約があるのか
  (3) 容認された取扱いが認められる理由

 2.分類判定フェーズ
  (1) 分類3と判定するための要件
  (2) 「課税所得の大きな増減」の発生態様
  (3) 「課税所得の大きな増減」が生じる水準
  (4) 「将来継続」の要件が不要な理由
  (5) 要件(2)の重複判定回避(欠損なし)
  (6) 本文中に示された重複判定回避の要件(期限切れなし)
  (7) 分類3の効率的な分類判定
  (8) 16項判定

 3.容認された取扱いとしての繰延税金資産の計上見積り
  (1) 容認された取扱いが規定化された背景
  (2) 適用できるケース
  (3) 留意事項
  (4) 合理的な根拠をもった説明の例示

 4.計上見積りフェーズにおける個別論点
  (1) タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の見積額
  (2) 解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異
  (3) 固定資産の減損損失に係る将来減算一時差異
  (4) 役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異
  (5) その他有価証券の純額の評価差損に係る一時差異
  (6) 繰延ヘッジ損失に係る一時差異

 5.ワークシートによる具体例
  (1) 計上見積りフェーズにおけるワークシートの活用
  (2) スケジューリングの実施
  (3) 一時差異等加減算前課税所得の算定
  (4) 比較検討

 

第7章 分類4の詳細解説

第7章 分類4の詳細解説
 1.原則的な取扱いとしての繰延税金資産の計上見積り
  (1) 全体イメージ
  (2) 原則的な取扱いの計上見積りが翌期に制約される理由
  (3) 重要な税務上の欠損金は否定的な根拠
  (4) 容認された取扱いが認められる理由

 2.分類判定フェーズ
  (1) 分類4と判定するための要件
  (2) 質的な観点からの「重要」な税務上の欠損金
  (3) 量的な観点からの「重要」な税務上の欠損金
  (4) 16項判定

 3.容認された取扱いとしての繰延税金資産の計上見積り
  (1) 原則的な取扱いとは異なる計上見積り
  (2) 参考
  (3) 容認された取扱いによる計上見積りのポイント
  (4) 合理的な根拠をもった説明の例示

 4.計上見積りフェーズにおける個別論点
  (1) タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の見積額
  (2) 解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異
  (3) 固定資産の減損損失に係る将来減算一時差異
  (4) 役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異
  (5) その他有価証券の純額の評価差損に係る一時差異
  (6) 繰延ヘッジ損失に係る一時差異

 5.ワークシートによる具体例
  (1) 計上見積りフェーズにおけるワークシートの活用
  (2) スケジューリングの実施
  (3) 一時差異等加減算前課税所得の算定
  (4) 比較検討
  (5) 分類3に該当するものとして取り扱われる場合

 

第8章 分類5の詳細解説

第8章 分類5の詳細解説
 1.原則的な取扱いとしての繰延税金資産の計上見積り
  (1) 全体イメージ
  (2) 原則と例外
  (3) 2つの不計上ルート

 2.分類判定フェーズ
  (1) 分類5と判定するための要件
  (2) 要件(1)の「連続性」
  (3) 要件(2)の「将来継続」
  (4) 16項判定
  (5) 継続企業の前提との関連

 3.計上見積りフェーズにおける個別論点
  (1) タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の見積額
  (2) 解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異
  (3) 固定資産の減損損失に係る将来減算一時差異
  (4) 役員退職慰労引当金に係る将来減算一時差異
  (5) その他有価証券の純額の評価差損に係る一時差異
  (6) 繰延ヘッジ損失に係る一時差異

 

第9章 他の分類への変更

この章では、企業の分類が変更となる場合のポイントについて説明しています。

企業の分類は、要件に該当する場合とその要件に該当しないときに適用指針16項による場合とで判定されます。これらの組み合わせから3つのパターンについて、分類が変更となる状況を例示しています。

これによって、分類の変更に必要な論点が理解できるだけでなく、分類の変更についてシミュレーションも行えるようになります。

第9章 他の分類への変更
 1.分類が変更となる4つのパターン
  (1) 判断の局面の増加
  (2) ランクアップとランクダウン

 2.分類1から他の分類への変更
  (1) 分類2へのランクダウン
  (2) 分類3ヘのランクダウン
  (3) 分類4へのランクダウン
  (4) 分類5へのランクダウン

 3.分類2から他の分類への変更
  (1) 分類1へのランクアップ
  (2) 分類3へのランクダウン
  (3) 分類4へのランクダウン
  (4) 分類5へのランクダウン

 4.分類3から他の分類への変更
  (1) 分類1へのランクアップ
  (2) 分類2へのランクアップ
  (3) 分類4へのランクダウン
  (4) 分類5へのランクダウン

 5.分類4から他の分類への変更
  (1) 分類1へのランクアップ
  (2) 分類2へのランクアップ
  (3) 分類3へのランクアップ
  (4) 分類5へのランクダウン

 6.分類5から他の分類への変更
  (1) 分類1へのランクアップ
  (2) 分類2へのランクアップ
  (3) 分類3へのランクアップ
  (4) 分類4へのランクアップ

 

補章 適用にあたっての留意事項

補章では、適用初年度の取扱いや、開示の動向、法定実効税率に用いる税率について補足説明します。適用指針を適用するにあたっての会計処理や開示についての理解が得られます。

補章 適用にあたっての留意事項
 1.適用初年度の取扱い
  (1) 適用時期
  (2) 会計方針の変更と剰余金処理
  (3) 気づかれやすい不当な操作
  (4) 適用初年度の注記
  (5) 未適用の会計基準等に関する注記

 2.開示の動向
  (1) 先送りされた注記事項の検討
  (2) 追加の可能性がある注記事項
  (3) 今後の審議の行方

 3.法定実効税率に用いる税率
  (1) 改訂案の取扱い
  (2) 法人税等の税率
  (3) 住民税等の税率

 

適正な財務報告を支援したい想い

 

『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」で新たに設定された内容や変更された点を伝える使命感に突き動かされて執筆したものです。

これも、すでに66号を企業会計基準委員会に移管する議論が行われていた中で66号本を発刊したにもかかわらず、実務担当者や公認会計士をはじめとした多くの方々の手にとってもらえたからです。

適用指針が66号から設計思考が180度変わったものの、そこで規定された内容が極めて伝わりにくいものと説明しました。「なんとか、これを言語化したい」、「実務に役立てて欲しい」という想いにかられた結果、66号本の内容から9割以上を書き直した全面改訂となりました。

『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』では66号本と同じように、規定の内容だけではなく、それをさらに掘り下げた内容まで私見に基づき解説しています。

正直、適用指針が実務に適用される前の段階でこうした私見を示すのは、著者としてリスクがあるでしょう。この本を発刊した後に企業会計基準委員会や日本公認会計士協会などから新たに解釈が示されたときには、そこで提示した内容が否定される可能性もあるからです。

 

そのようなリスクがありながらも私見を提示しているのは、財務諸表の作成者が適正な財務報告を行えることを支援したいためです。

 

税効果会計は会計の中でも見積もりの要素が多いため、難しい論点といえます。特に繰延税金資産の回収可能性の判断は見積りの塊であるため、その判断にあたっては苦心することが容易に想像できます。

このとき、規定の内容以上の解説があると、その解説を受け入れることもできれば、たたき台として別の取扱いを導くこともできるでしょう。『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』によって財務諸表の作成者が適切な結論を導けたときに、適正な財務報告を支援できるものと考えています。

ぜひとも『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』を活用して繰延税金資産の回収可能性を適切に判断し、適正な財務報告を行ってください。

 

 

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