フードフェスは、食のお祭り。せっかくなので、できるだけ多くの種類を食べたいもの。
そーゆーワケで、フードフェスに行ったときには、一緒に行った人と手分けして並んで、買ったフードを持ち寄ってシェアするようにしています。
先週末に行った「さがみはらぁ麺グランプリ」では、カミさんと2人で行ったので、「じゃあ、買ったら、ここで合流ね」と二手で買いに向かいました。
なんでこんなことをするといえば、2つの理由があります。
ひとつの理由は、一度に多くの種類のフードを楽しみたいから。まさに、フードフェスの醍醐味。
もうひとつの理由は、座る場所が確保しにくいから。前回のブログでは、お客さんの動線は、時系列でみると「食べる前」「食べるとき」「食べた後」の3つに分けられると説明しました。これは、「食べるとき」に該当します。
その食べるときにフードフェスでよく見かけるのが、集客の数に足りない席しか用意されていない状況。都心の公園で開催されるフードフェスだと、開催場所の土地の制約があるとはいえ、どう考えてもキャパオーバー。用意している席の3倍くらいはあっても、まだ足りないほど。
「さがみはらぁ麺グランプリ」では、テーブルとイスの他に、ブルーシートを広く敷いて自由に利用できるようにしていたので、まだ良心的。それでも、テーブルとイスがもっと用意してあると、お客さんとしては嬉しい。
こうした状況は、ビジネスモデル的にいうと「カスタマーリレーションシップ」、つまり、お客さんとどのような関係を作ろうとしているのかという観点から捉えることができます。
売って終わりの関係を目指しているなら、テーブルやイスが不足していても、売り手としてのビジネスモデルは完結します。ただし、それをお客さんも同じように考えていることが前提。
一方で、売った後、楽しんで食べてもらう、味わって食べてもらうといった関係を目指しているなら、テーブルやイスはそれなりに用意しておかないと、ビジネスモデルは成立しません。
もっといえば、これは出展しているお店が得られる収入にも影響してきます。ちゃんと座れるテーブルとイスがないと、お客さんは買わずに帰ることだって当然にあり得ます。また、一度買った後にもっと食べたいと思っても、「もう座れないよね」とあきらめた結果、追加で買うことなく帰ることもあります。
このように、テーブルやイスを用意していたならば得られたであろう収入をみすみす手放してしまっているのです。
管理会計では、このような状態を「機会損失」といいます。和製英語で「チャンスロス」なんて呼ばれることもありますが、正しくはオポチュニティコスト(Opportunity Cost)。
もし集客した人々が十分に座れた場合には、お客さんが支払おうとするお金のすべてが得られます。しかし、せっかく集客しても、テーブルやイスが十分に用意されていないと、一部のお客さんから売上を得る機会をなくしてしまうのです。
いくら、お客さんの設定やお客さんに提供する価値がマッチしており、加えて、その価値を提供するチャネルも適切であっても、その価値を提供するリソースや活動がアンバランスだと、機会損失が生じる結果、得られる収入が少なくなってしまうのです。
このようにビジネスモデルは、あらゆる要素が有機的に機能しないと、十分な収入が得られません。あなたのビジネスでは、お金を払ってでも食べたいと言っているお客さんを手放すようなモッタイナイこと、していませんよね。
P.S.
今回の記事を考えながら本屋さんに入ったら、偶然にも機会損失をテーマにした一冊の本に出会いました。機会損失を4種類に区分したうえで対応策が整理されているようです。
それにしても、まさか、機会損失で一冊の本とは。そんなニッチさが素敵です。
・清水勝彦『機会損失: 「見えない」リスクと可能性』