我が家に、来年のカレンダーが貼られました。いつもの、家電量販店の大きな一枚もののカレンダー。
明日からの12月が、2019年の月日よりも小さく書かれたカレンダーを眺めながら、「もう2019年か~、早いな~」なんて思っていたら、不思議な日付に気が付きました。なんと、白色の日付があるのです。
例年、このカレンダーは、平日が黒色、休日と祝日は赤色で示されています。しかし、今年は白抜きの日付がいくつかあるのです。それは、4月30日、5月1日、5月2日、10月22日。「なんだこりゃ」と思っていたら、まだ、祝日か休日かが決まっていない日でした。
これらは、新天皇の即位に関連した日。2019年5月1日には即位が、また、10月22日には即位を公に知らせる「即位礼正殿の儀」が予定されています。さらに、5月1日が、休日ではなく祝日になった場合には、祝日に挟まれた4月30日と5月2日が、休日になるのです(ちなみに、これが決算業務に与える影響は「期末決算スケジュールの10連休インパクト」をご覧ください)。
ただ、祝日になるか、あるいは、休日になるかは、まだ正式に決まっていません。これらを祝日とする法案については、国会に提出するための閣議決定が、2018年11月13日に行われました。それが、本日の11月30日には、衆議院内閣委員会で可決。今国会で成立する見込みといわれています。
国会で成立すると、その法案は法律となります。法律が成立した後には、一般に周知させるための公布の手続が取られます。公布とは、官報に掲載された日。これによって、国民が知ることのできる状態になります。
ここで思い出すのが、税効果会計での税率の取扱い。税効果会計を適用するにあたって、税率が改正されたときに、新旧どちらの税率を用いるか、という論点。この議論にあたって、改正税法の公布に至るプロセスに着目して、次の時点が候補として挙がっていました。
1.税制改正大綱が決定された時点
2.税制改正法案が閣議決定された時点
3.国会で法律が成立した時点
4.公布された時点
これらのうち1や2の時点でも、改正される税率を予測できます。しかし、3の時点、つまり、国会で成立した改正税率を無視することはできない。また、この議論は、従来は4の時点としていたところ、実務上の問題が生じたことから、3の時点以前にすることが前提となっていました。そこで、国会で成立した日をもって改正したものとして取り扱うようになりました。
そんな会計の取扱いを当てはめるなら、今日の2018年11月30日の時点でも、まだ改正したとは取り扱えません。会社の経理の方や会計士の方なら、「まだ祝日になったとは言えないだろう」と言い出しかねない。
とはいっても、カレンダーを作る人にとっては、国会での成立を待ってはいられません。全国カレンダー出版協同組合連合会のお話しによると、例年のスケジュールなら、2019年のカレンダーは2017年12月には刷り始めるとのこと。とにかくカレンダーの制作を進めなければなりません。
そこで、次の3つで対応しているようです。
(1)黒色にする
(2)4月30日、5月1日、10月22日に記載する行事名を赤色にする
(3)これらの日に記載する行事名の前に、赤色で日の丸を付ける
しかし、うちに貼ってある家電量販店のカレンダーは、違う対応。祝日や休日かが未定の日付は、白色。あなた色に染めてください、という色にしているのです。法律として成立したときに、自分で黒色か赤色で塗れば良い、ってワケ。
なかなかのアイデア。塗りつぶすなんて、ちょっとした楽しみもあります。これを考えついた方は、きっとガッツポーズをしたハズ。カレンダー制作に何ひとつ関わっていないボクでも、このアイデアは悔しい。
こんな具合で、来年のカレンダーの前で一喜一憂しています。中島みゆきサンの歌じゃありませんが、「ひとり上手」かも。
P.S.
税効果会計の改正税率の取扱いは、こちらの本がおすすめ。
・竹村純也『税効果会計における 繰延税金資産の回収可能性の実務〈全面改訂版〉』