今、プライベートで、プレゼン資料を作成することが求められています。その仲間内からのオーダーでは、ああだった、こうだったと感情面に訴える内容を書いて欲しいとの連絡がありました。
プレゼンで何かしらの行動を呼びかけるときに、感情と論理の2つの側面があります。もちろん、これらのどちらかを選ぶものではなく、両方とも必要。感情だけで攻めるとか、論理だけで突き進むとかはあり得ない。これらを組み合わせて使う必要があります。
ただし、使う局面が違います。だから、ボクはそのオーダーには応じないつもり。というのも、マーケティングの世界では、顧客が購買に至るときに「感情で決めて、論理で納得する」という話が聞かれます。
これが欲しい、これを買うといった購買決定は、感情で決まります。感情で決めた行動を裏付けるために、論理を必要とするのです。だから、購買決定は決してスペックではない。むしろ、格好いいとか、凄そうとか、なんとなくの感覚で決まっていきます。それを手にいれたときのベネフィットと言ってもいい。
そんな背景もあるため、プレゼンでは感情と論理の両方が必要。それを説明するときには、感情的に訴え、論理的に納得させなければなりません。しかし、それがプレゼンの「資料」となると、話は別。
以前に、講師業のプロの方から、資料には感情を書くべきじゃないと教わりました。紙面に落とすのは論理だけで、感情に訴えるところは口頭にする、と。
それを聞いたときには、「へえ~、そういうものなんだ~」と腹落ちしていませんでした。確かに、文字で書かれるとクドイよなあ、なんて軽く受け止めていました。
ただ、今となると、それもよくわかります。先ほどのマーケティングの話に基づけば、呼びかける行動を決めるのは感情。文字と口頭の両方の説明でそこはクリアできるのです。
とはいえ、その人が行動を起こすと心で決めていても、いざ実行に移そうとすると不安になります。本当にこの決断で良かったのかどうか、心配になるのです。つまり、心では決めていても、行動に移せない状態。
ここで必要となるのは、行動の後押し。そっと背中を押してあげる必要があります。そのときに、プレゼンの資料をみることで、「ほら、ここに書いてあるとおり、ロジックがあるんだ」と理解してもらえれば、その人は行動に移しやすくなります。
また、誰かの許可が必要とするときにも、ロジックがあると良い。組織の上司だったり、配偶者だったり、感情だけでは他の人を納得させにくい。特にビジネスでは、いきなり感情を持ってこられても迷惑なだけ。そんなときに、感情丸出しの資料を見せたら、逆効果。
その提案に思い入れがないからこそ、判断基準となるのは論理だけ。だから、裏付けが示されている資料を見せられると、論理的に否定する材料がないことを理解してもらえるのです。
あのときの講師業のプロの方の言葉を、今、こう解釈しています。それが正解だろうが、不正解だろうが、関係ない。自分に腹落ちしていることが大事。自身で心底納得していないのに、人様に納得してもらえる訳がないからです。
ボクはそう考えているため、仲間内からのオーダーもプレゼン資料には書かないつもり。少なくともファーストドラフトでは。
そんなことよりも大事なのが、いかに納得してもらう人の頭の中に入り込めるか。いわゆる、「インサイト」ってやつ。先月の神田昌典サンの全国縦断『2022』講演ツアーで紹介された「インサイトファインダー」を見よう見まねで試してみようっと。