2019年3月16日の今日。大事なイベントに参加できませんでした。ブログ記事「キャリア・セミナーで手にするもの」で紹介したとおり、キャリアについて考える丸1日のワークショップの開催日。
このワークショップを去年に開催したときには、ボクの持ち時間でファシリテーターとして参加しました。しかし、今年は名古屋でミーティングがあったため、やむなく欠席。Facebookで会場の写真が逐次、アップされているのを見るたびに、「楽しそうだな~」と残念しきり。
気持ちをワークショップの会場に置いたまま、名古屋のミーティングに向かうのも良くないので、行きの新幹線の中では、気持ちを切り替えるべく読書に専念。その本は、Amazonで発売前に予約していた神田昌典サンと池田篤史サンによる『人間学×マーケティング (未来につづく会社になるための論語と算盤) 』(致知出版社)。
この本は、いろんな読み方ができるように書かれています。ボクとしての気づきは、スキルだけではダメで、マインドも高めていく必要がある、ということ。もちろん、そう直接的に記述されてはいませんが、ボクが受け取ったメッセージはこれ。
もう少し解説すると、本のタイトルにある「人間学」というのは、論語と算盤でいう「論語」に相当する今の概念。ビジネスの文脈でいえば、経営者としての在り方だったり、リーダーシップだったりと、いわゆるマインドの大事さを伝えているものと受け取りました。
一方で、本のタイトルにある「マーケティング」とは、「算盤」に相当する今の概念。最近では無料で使える優れものデジタルツールが溢れているため、これらをどこまで活用しているか、活用すべきかを問うています。Googleアナリティクスやサーチコンソールなど、それを使い、かつ、その指標を常時モニタリングしているか、それが昨今のビジネスに影響を与えるといいます。
で、この本では、「論語会社」「算盤会社」と表現しているように、論語か、算盤かのどちらかに偏っていてはダメだといいます。中庸という概念があるように、そのバランスが大事だと言います。
人を大事にするだけでマーケティング・スキルがない会社は生き残りが厳しいし、また、マーケティング・スキルがあるものの人を大事にしない会社は人が定着しない。どちらも不可欠であるがゆえに、そのバランスをどう取っていくかが重要だと理解しました。
ボクが思うに、より大事なのは人間学、すなわち、マインドのほう。いくらスキルがあっても、マインドが整っていなければ、十分に活用できません。
少し前に、会計ではない専門家の知人から聞いた話。新しいプロジェクトの受注にあたって緻密な見積もりを作成したところ、先方の想定以上のものであったことから、大幅な値引きを要請されたとのこと。
まあ、相手が価格でしか判断できなければそうなります。それをデータで示しているのが、神田昌典サンが監修された、マシュー・ディクソン、ブレント・アダムソン、パット・スペナー、ニック・トーマンによる『隠れたキーマンを探せ! データが解明した 最新B2B営業法』(実業之日本社)。
意思決定者が増えるにつれて判断基準が価格になっていくことが指摘されています。だから、やむを得ない面もあるっちゃあ、ある。
しかし、そのときに、上司があっさりと値引き要請を飲む姿勢を示したとのこと。これに、知人は呆れ果てました。自分たちの価値を思いっきり下げるような姿勢を示したことに耐えられなかったようです。心中お察しします。
その上司がそんな姿勢を示すのも、マインドの低さが原因。単に仕事を取るという行為こそが優先順位が高くなっている証拠。そこに、自分たちの価値提供の適正な値付けを理解していないのです。
値段を下げて受注するなんて、誰にでもできること。そうではない受注のために、マーケティングやクロージングを工夫しているところ、そこをせずに流れ弾的な受注をいかに獲得するかに意識が向いているため、それがどんな結果を生むかをまったく想像できないのです。
そういう人たちは、基本的に学びをストップしている。今日のキャリアセミナーで説明されているようなビジネスモデル・キャンバスという基礎知識すら知らない状態。まるで中学1年の義務教育で教わる英単語のボキャブラリーだけで、海外で弁護士も必要なビジネスの交渉をしようとしているようなもの。無理ゲーってやつです。
こう考えると、ビジネスを思うように展開していくためには、まずマインドをブレずに設定したうえで、次にスキルを高めていく必要があります。それはビジネスだろうが、キャリアだろうが同じ。今日のキャリアセミナーに参加された方たちは、きっと大丈夫。だから、迷わず、突き進んでください。求める結果に近づいていきますから。