Accounting

後悔しないための会計士選び

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日本では、3月末決算の会社が多い。そのため、企業の経理担当の方々は、ちょうど今、決算作業の最中。

 国税庁の統計によれば、平成29年度における申告法人(年一回決算会社)は2,696,568社。単純に12ヶ月で割ると224,714社なのに対して、3月決算の会社は511,904社。全国で相当の人数が、この時期に決算を行っていることが理解できます。

 その成果物としての決算書が出来上がってくると、今度は、会計士が会計監査を行う番。それが、4月の中旬から後半にかけて始まります。ゴールデンウィークも会計監査にかかりっきりになるため、例年、出勤となる会計士は珍しくない。今年の10連休を暦どおりに休むなんて、夢のまた夢。

 こんな事情のため、一年で最も多用な時期に突入した時期。そこで英気を養うために、今日の晩御飯に選んだのが、お肉。新宿で、ラム肉の16種類の部位を提供するお店に行きました。まだオープンして3日目の、新店ほやほや。

 このお店の特徴は、ラム肉の種類の多さに加えて、それを焼く鉄板。ラム肉と聞くと、ジンギスカン鍋を思い出しますよね。あの、山のような形をした鉄板。ラム肉の油が流れ込む鍋の周辺の箇所に、モヤシを炒める、アレ。

 しかし、このお店の鉄板は、ジンギスカン鍋ではありません。そうではなく、焼肉屋さんで見かける、中央に油を落とす穴が蛇腹のように空いている鉄板。牛肉や豚肉を焼くような感じで、ラム肉を焼くのです。

 テーブルには、ラム肉の部位別にどう焼けばよいかを説明した文書が置いてあります。ただ、ボクらは幸いにも、店長さんっぽい方に焼き方を教わることができました。そこで勉強になったのが、鉄板の使い方。

 じっと見ていると、蛇腹のところである程度焼いた次に、蛇腹ではない端のスペースにラム肉を置いたのです。余熱を使ってじんわりと熱を肉の中に通していくとのこと。

 なるほど、これは知らずに生きてきました。牛の焼き肉屋さんでも、その端のスペースを使うことがあります。しかし、それは、これ以上、お肉を中央で焼いていては焦げそうだからと避難するのが目的。いわば、消極的な使い方。

 ほら、バーベキューで使うコンロでも、炭を満遍なく置くことはせずに、どちらか半分に寄せるほうがよいと言われます。これも、これ以上焦がさないための、消極的な使い方。

 それに対して、今日の店長さんっぽい方の焼き方は、余熱を利用してお肉の焼き方を完成させていく、積極的な使い方。最近、焼き肉の部位別の焼き方を解説した本が出版されていますが、まさに、それ。運良く、目の前で体験することができました。

 そこで思い出したのが、徒然草。その第52段に、こんなフレーズがあります。

すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。

 これは、ちょっとしたことでも詳しい人が欲しいと綴ったもの。今日、ボクが知ったように、焼き肉にも鉄板の積極的な使い方がありました。そんな日常のことでも知らないことは多い。ましてや専門的な分野になると、知らないことだらけと言ってもよい。だから、専門家が必要になってきます。

 ただ、専門家と一口に言っても、経験も違えば、得意なジャンルも違う。加えて、センスも違います。となると、専門家のうち優れた人がわかる仕組みが必要になります。専門家が役に立たないと、選んだ意味がなくなってしまいますからね。

 医師や弁護士などの専門家は、ランキング形式で紹介されることがあります。その評判を利用することで、専門家を選ぶことができます。

 それに対して、会計士には、そうした仕組みがありません。もちろん、特定の分野や論点で有名な方もいらっしゃいます。しかし、それが必ずしも会計監査の品質を表しているものではない。

 とはいえ、会計監査は成功報酬的な業務ではないため、ランキングも適当ではない。すると、監査業界に必要なのは、個々人の情報発信なんじゃないでしょうか。たとえ監査法人に属していても、個として何を考えて、何をしているのか。それがわかるようにするのです。

 近い将来、専門家としての行動がブロックチェーンのような仕組みの中で自動的に記録されていくことも考えられます。そうなると、それを利用することで、会計士のような専門家も個人として評価できる環境になるのかもしれません。

 まあ、それまでボクは、ブログを書いていきますよ。毎日書くとなると、自らの深層に潜らざるを得ませんから、どんな人なのかがわかるってもの。筆も乗っていれば、油も乗っていますから。

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