Career

もう戻れない、セールスライターの世界

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

聴いちゃいましたよ、中森明菜サンの歌。先日、お笑い芸人の椿鬼奴サンによる歌マネを聴いてから、明菜サン御本人の歌を聴きたい気持ちが強まっていました。そこで今日、シングルメドレーに浸ることができました。

 ボクが小学校の高学年から高校を卒業するまで、夢中になっていた女性アイドル。いや、シンガーといったほうが正解かも。楽曲の作家陣が豪華。ボクは売野雅勇サンが作詞した楽曲に好きな歌が多い。今日、聴いていた中にも、その売野サンが作詞を手掛けた『禁区』がありました。

 ちなみに、この歌の作曲者は細野晴臣サン。この楽曲提供の裏話に、細野サンが最初に作った曲を明菜サン側に提示したところ、「こんなんで歌になるのか」と却下されたそうで。そこで作り直したのが、この『禁区』。却下された曲のほうは、その後、YMOの『過激な淑女』として発表されます。だから、この2つの曲は、ところどころ似ています。

 そんな『禁区』を聴いていると、ふと、キャッチコピーの仕組みに気づきました。この曲のサビの歌詞は、「戻りたい 戻れない」。どう、気づきましたか。

 この歌詞は、前半と後半の2つで成り立っています。最初に「本当はこうしたい」というニーズ、その次に「でも、それができない」というフリクションの構造。欲求があるけれども、それが達成できないのです。具体的には、次のものが挙げられます。

・プライベートなら、痩せたいけど痩せられない。
・ビジネスなら、お客さんを集めたいけど集められない。
・キャリアなら、今の仕事を辞めたいけど辞められない。

 現状、解決したい何かがあるにもかかわらず、それを実行できない。そんな悩みがある人にこんな風に呼びかけると、「そうそう」と頷いてしまう。人の心を文章の初っ端から掴む見出し。セールスレターの業界では、この見出しを「ヘッドライン」と呼びます。

 こうしてヘッドラインで関心を惹きつけた後に、それを解決する商品やサービスを提示するのです。この流れで紹介されると、その先が気になってしまいます。このように誘導していくのが、セールスレターの王道。

 ただ、ヘッドラインを作るのは大変。なので、ゼロから自分で作り上げるのではなく、お手本を参考にして作り変えることが多い。このお手本のことを、セールスレターの業界では「スワイプファイル」といいます。成果が確かめられているものをベースにするため、成功確率が上がるのです。

 とはいえ、お手本の趣旨やそれが使われた状況を理解していないと、ちぐはぐなヘッドラインが出来上がります。その結果、成功確率を上げることができなくなるのです。

 しかし、ボクは中森明菜サンの『禁区』を聴いて、このヘッドラインのパターン化のひとつを発見しました。「~したいけど、~できない」というニーズとフリクションの構造です。先ほど紹介した具体例のように、いろいろと展開できそうですよね。

 先日、ボクが責任者になっているプロジェクトで、メンバーの悩みを受けて、とある資料を作成しました。その表紙に、資料タイトルの左上に、解決したいけど解決できない気持ちを端的に記載しました。これによって、共感が生まれて資料を読み進めてもらいやすくなったと感じています。

 非常に収まりが良かったので、何度も見返して自画自賛していたほど。その原因が、このヘッドラインのパターン化だったのですね。あなたも何かの資料を作るときに、このパターン化を使って、セールスライターの世界に踏み込んでみませんか。でも、気をつけてくださいね。それを知らなかった世界にはもう戻れなくなる「禁区」ですから。

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