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議論を深めて、アイデアを出す質問の仕方

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アイデアが出てくるとき。そのひとつの局面は、具体論を話しているとき。一般論や抽象的な話をしているときに比べて、いろいろとアイデアが出てきます。

 例えば、会計で言うと、会計基準というルールだけで話していても、議論が深まらないことがあります。しかし、具体的な現場での出来事に対して会計のルールの適用を話し出すと、「あれはどうか」「これはどうだろう」とその場で論点が思いつく。

 セミナーや研修の講師をしているときも、同じ。その場の雰囲気を踏まえて説明するときに出てくる内容が、それまでは思ってもいなかった観点や例示がクチから出てきます。おそらく、文章だけで解説しようとすると、決して出てこないようなもの。

 職場の仲間と議論しているときに、どんどんアイデアが出てきます。具体論を前にして議論を重ねていくほどに、考え方が整理されていくのです。だから、ボクが監査の現場で話しているのを誰か書き留めてくれないかなあ、なんて思っていたほど。

 何も、思い上がっている訳じゃない。今どきのビジネス書の作り方をまねて、そこで生まれたアイデアを共有できるようにしたいだけ。著者が話したことを編集者がまとめて本にするように、ボクが話したことを誰かがまとめて参考にできるようにしたいのです。

 そう考えていたときに、今日、驚きの発言を耳にしました。ある後輩が、「竹村さんに指摘された内容は、必ず書き留めていますよ」と。それに続けて、「言われたことを次の監査で反映できるようにしています」とも。

 なんと、こうだったら良いなあと考えていたことが、いつの間にか叶っていたのです。思わず、「それさ、キレイにまとめて、事務所内にシェアしてよ」とお願いしちゃいましたよ。

 このように、話し合うことには良い効果があります。ワークショップ型のセミナーが盛り上がるのも、この対話があるから。もちろん、対話が進むようなファシリテーションが必要。でも、反対にいえば、然るべき知見を備えたファシリテーターがいれば、もう大丈夫。

 ワークショップ型のセミナー以外にも、話し合いが盛り上がるとよい「場」があります。それは、会議の場。つまんない会議に付き合わされる経験がある人が多いのではないでしょうか。

 会議にもファシリテーション・スキルは必要ですが、具体論で議論を掘り下げているかどうかという点も大事。よく、「総論賛成、各論反対」と言われるように、お題目だけを話していても議論は深まらない。特にキレイなお題目だと、なおさら反対する人はいません。

 しかし、その後に各論に入ると、とたんに反対しだす人がいます。各論になってはじめて、自分に及ぶ利害を具体的に理解できるから。このように具体論にならないと、イメージができない。抽象度が高いときに、浅い理解のまま議論しているのです。

 だから、会議の議長は、議論を盛り上げるファシリテーション・スキルを身につけたほうが絶対に良い。つまりは、具体論を引き出す投げかけ。「例えば、どう?」「具体的には、何?」というように、話し合っている内容を掘り下げていく。

 さらに言えば、その議論を付箋紙に書くようにファシリテートすると、自ずとアウトプットが出来上がります。それを写真に撮れば、成果物として残すこともできる。議事録も不要になることもあります。

 やっぱり、ファシリテーションはもっと認知されたほうが良い。会議の議長にとっては、議論が深まるため、アイデアが得られる。また、会議に参加している人にとっては、発言の機会が多くなるため、その場に参加していることが楽しい。良いことづくし。

 そんなファシリテーターに恵まれないときには、議論を深める質問を投げかけてみませんか。具体論を引き出す質問を。えっ、「例えば?」って。そう、ソレソレ。いい感じです。

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