Business model

製品やサービスじゃない、ミッションだ

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

今日の東京は暑かった。最高気温は28度までに達したようで。3日前までは20度程度だったので、夏が近づいてきた感じ。

 この季節に聴きだすアルバムは、CAGNETによる『Here We Are Again』。これは、平成を代表するフジテレビ系ドラマ『ロング・バケーション』のサウンドトラック。いわゆる、サントラってやつですね。

 ロンバケのサントラは、実は3枚あります。普通は1枚リリースされるかどうかなのに、ロンバケは3枚も発売されています。このドラマが音楽にまつわる内容だったこともあって、劇中に使用されるためだけに作詞作曲された歌が多い。インストゥルメンタルだけじゃないんです。

 サントラの1枚目は、ドラマで流れていた楽曲が収録されたもの。ドラマのサントラにもかかわらず、その売上枚数は100万枚を超える大ヒット。2枚目は、劇中にも登場したグループの楽曲。ボクが何度も聴き返している3枚目は、1枚目のサントラに収録された楽曲の英語バージョン。

 1枚目の日本語の楽曲は、ドラマ放映当時の1996年4月から6月の空気感を思い出させます。これを聴くと、ドラマの中にどっぷりと浸れます。気分はもう、木村拓哉サンが演じる主人公の瀬名秀俊。劇中で主人公が先生に「壁。とっぱらってください。」と言われるシーンがありますが、そう言われて戸惑う瀬名クンの心境になれます。

 一方、3枚目の英語の楽曲を聴くと、東京を超えて、一気にアメリカのカリフォルニアに飛んでいきます。歌や演奏の湿度がとたんに低くなった印象を受けます。からっと晴れた青空の下で流れている感じで。

 ドラマの放送から20年以上も経っているにもかかわらず、いまだに聴かれているなんて、すごいこと。しかも、サントラですよ、サントラ。ボクが好きなことを割り引いても、ミリオン超えのセールスがそれを証明しています。

 それにしても、音楽が重要な位置づけを占めるドラマのサントラを手掛けるのは、相当なプレッシャーがかかるハズ。だって、そうではないドラマのサントラ以上に、視聴者の気分がドラマで流れる楽曲に乗れないと、ドラマの内容のぶち壊してしまいかねないから。

 ほら、「そんなメロディじゃ、感動できない」「その曲じゃ、気分が盛り上がらない」なんて言われちゃオシマイ。きっと、ドラマの企画段階では、「そんなの、クラシックを使えばいいじゃないか」と反論があったのではないかと推測されます。

 しかし、ロンバケのサントラは、視聴者の気分を気持ちよく乗せてくれます。主人公が劇中にピアノで弾く楽曲も、オリジナル。主人公が音楽コンクールで演奏する課題曲も、オリジナル。クラシックを使えば無難なところ、あえてオリジナル曲で勝負しているのです。

 そんな楽曲の作曲とプロデュースを手掛けたのは、日向大介サン。なお、音楽コンクールの課題曲だけは、お兄さんの日向敏文サン。想像以上のプレッシャーがあったであろう中で、ここまでのクオリティで作曲とプロデュースを行えたことが信じられない。

 やはり、物事はなんでも挑戦しないと面白くならない。期待を超えたものを提供できなければ、「あっ、その程度ね」で終わってしまう。何も価値を生み出せないのです。

 ビジネスでは、誰かのために提供する価値が最も重要。製品やサービスというのは、その価値を体現化したものにすぎない。その根底にあるミッションこそが大事なんです。

 10年以上前に、ユニリーバの英語版のCSR報告書を読み解いたことがあります。この会社のミッションとは、世の中の不衛生をなくすることだったと記憶しています。最初に提供していた製品は、石鹸。手を石鹸で洗うことによって、不衛生が原因の病気から人々を守ろうとしていたのです。この話を聞いて感動したのを覚えています。

 ビジネスとは、ただ製品やサービスを売るのではなく、それにかける想いを提供する。あなたの想いが届いたときに感動が生まれるなら、ビジネスはお金儲けを超えたものとなる。その結果のひとつが、20年を超えて聴き続けられるサントラ。

 その領域に達するためには、現状の常識や枠、限界だと思い込んでいるものから抜け出す必要があります。その限界を一気に飛び越えるように、その壁、とっぱらってください。

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