人は、自分に似た人を好きになる。自分が好きなものが相手も同じだと、突然、その相手のことが近く感じる。2013年に公開されたディズニー映画『アナと雪の女王』でも、これに関連したシーンが描かれています。
主人公のひとりであるアナが、ハンス王子から「何が好きか」と尋ねられたとき。サンドイッチと答えると、ハンス王子は「僕と同じじゃないか!」と返答します。こんな会話もきっかけとなって、2人は婚約するに至ります。
このように、自分と同じものが好きだと知ると、その相手が自分の近くにいる存在だと感じ、また、それがやがて好きという感情も引き起こすことがあります。
今日、読んでいた本に対して、良い感情を持ったのも、おそらく、この現象が影響しています。その本とは、『OPPORTUNITY チャンスを見つける19の法則』(ダイレクト出版)です。著者は、起業の方法を教えているエベン・ペーガン氏。
なぜ、この本を読んでいて良い感情を持ったのは、ボクが活用しているアプローチに基づいた話を展開しているから。内容もボクが読みたいことが書かれているのはもちろんのこと、そのバックボーンもボクが好きなもの。そりゃ、好きになるでしょ。まるで、ハンス王子の回答を聞いてときめいたアナの心境。
世の中には、ボクの読みたい内容が書かれている本は多い。その中には、「これ、好き」と熱狂的になる本もあれば、「確かに、そうだね」と冷静に好意を抱く本もある。その違いにはいくつかの要因がある。その要因のひとつが、自分と似ているかどうか。
寄って立つ論理が同じなこともあれば、感性が似ていることもある。また、着眼点だったり、文体だったりと、「僕と同じじゃないか!」と感じることもある。いずれにせよ、自分と似ていることがポイント。
エベン・ペーガン氏とボクが使っているアプローチとは、ポール・マクリーン博士が提唱した「三位一体脳仮説」に基づくもの。人間の脳には、進化に応じて3つの層があります。生存を司る「爬虫類脳」、感情を司る「哺乳類脳」、思考を司る「人間脳」から構成されているといいます。
これらの脳が司る領域は、それぞれ異なっています。そこで、どれかひとつだけではなく、3つを網羅するようにコミュニケーションすることで、こちらからの呼びかけを受け入れてもらいやすくしていくのです。
実際、ボクは、ワークショップ型のセミナーを作るときには、この3つの脳を意識しています。いきなり「さあ、これをやってみましょう」と期待する行動を呼びかけたところで、反応が薄いのは当たり前。3つの脳が受け入れ体制になっていない。
そこで、3つの脳の扉を開けていくために、安全な環境を用意し、好ましい雰囲気を作り、考えを共有しやすいように促す。こうして、ワークショップの効果が生み出しやすい場づくりをファシリテートしているのです。おかげで、セミナー後のアンケートには、「新しい気づきが得られた」という声をよくいただきます。
こうした三位一体脳仮説をエベン・ペーガン氏も使っているため、ボクはこの人のコンテンツが大好き。気持ちよく進行に身を委ねられます。なんと言ったって、脳の構造的に受け入れやすくなっているのだからね。
それとは反対に、中途半端にかじったセミナーでは、嫌悪感さえ抱きかねない。脳の構造上、そう感じるのは仕方がない。
たまに、ボクのセミナーを見て「このやり方は良い」と感じたのか、パーツだけを真似する人がいます。単に話し合えば理解が進むと勘違いしているため、場作りも何もなく「さあ、話し合ってください」「さあ、自分の意見を言ってください」と振り始める。それは、無茶ぶり。脳が受け入れ体制になっていませんからね。
だから、真似をするなら、ちゃんと真似をしなければ意味がない。ビジネスでは、もちろん合法的な範囲内ではありますが、上手く行っている相手のことを徹底的にパクることが推奨されます。一部分だけだと、それが機能しないことがあるからです。
そろそろ、ボクのセミナースタイルをそっくり真似する後輩が現れると嬉しいなあ。喜んで、セミナーの進行に身を委ねます。そのときには、間違いなくこう言うつもり。そう、「僕と同じじゃないか!」と。