マーケティング業界で、世界中に激震が走りました。あのダン・ケネディがこの世を去ったとのこと。屁理屈なしという意味の「NO.B.S」シリーズの書籍も多数ある、世界的なマーケッター。訃報が、今でも信じられない。
ただ、少し冷静な自分もいます。覚悟ができていた、がより正確かも。というのも、最近のダンのニュースレターに、リタイア計画があると話していたからです。
そもそも、こんなに売れたマーケッターが、今でも現役で、かつ、こまめにニュースレターを発信し続けているのは、ダンしかいないでしょう。多くは、マーケッターやコピーライターを引退する、あるいは、ニュースレターなどによって情報発信をすることを止めます。ところが、ダンは、64歳でこの世を去るまで、現役でい続けながら、情報も発信していたのです。
だから、リタイア計画を聞いたときも、そりゃそうだと感じました。裏返せば、いつまでも甘えちゃいけない。それはダンも望まないでしょう。
そこで、ダン・ケネディの教えを振り返ってみました。その中で、ボクにとって最も役立っているものは、ツーステップ・マーケティング。
これに対するワンステップ・マーケティングとは、チラシやダイレクトメールで購入まで呼びかけるもの。いきなり、買えと読者に迫るのです。これでは、読み手も警戒して、呼びかけの文章を読んでくれない。また、魚がいるかどうかもわからずに釣り竿をたらしているため、効果なんてありゃしない。
そこでダンは、いきなり買えと迫るのではなく、まずは関係を築いたうえで購入を促すことを説いたのです。例えば、資料請求や無料レポートなどのように、いったん相手と何かしらの関係を作ります。そこで関心をもった人に対して、セールスをかけていく。
いっけん遠回りに見える、このツーステップ・マーケティング。しかし、魚がいるとわかっている場所に釣り竿をたらすため、効果ははるかに良い。もちろん、ワンステップで集める割合によっても影響を受けます。
ただ、ワンステップが弱いのなら、そこを正せば良い。また、ワンステップで期待した集客ができているのなら、ツーステップを正せば良い。極めて合理的なアプローチなんです。
これ、マーケティングに限らず、世の中の何にでも適用できると考えています。恋愛もそう。ワンステップ・マーケティングの発想だと、好きな人ができると、いきなり付き合うことを迫る。それじゃ、怖いだけ。
それに対して、ツーステップ・マーケティングの発想なら、まずは一緒に出かけることに抵抗をなくすように、美味しいレストランに誘うとか、季節ならではのイベントに誘うとか、仲良くなることから始める。そうして関係が築ければ、ワンステップだけよりもはるかに展開しやすい。
このように、ボクはダンから、ツーステップ・マーケティングを学んだのです。いきなり迫るな、まずは関係を作れ、と。日本流にいえば、急がば回れ。
じゃ、ダンに甘えずにいるために、つまり、自立したマーケッターであるために、ボクらがすべきことをツーステップ・マーケティングの発想で考えるなら。だって、「さあ、自立しよう」というのが、ワンステップ・マーケティングの発想でしょ。
自立することがワンステップなら、ツーステップは自立するために何をすべきか。これはもう、行動を起こすしかない。温めすぎず、かつ、無計画にもならず、ほどよいところで発車してしまう。実地でテストを繰り返していく結果、成果が生まれる。この成果が自立した証拠。
ダンの教え子なら、アクションを起こしましょうよ。ぐだぐだと言い訳していると、きっとダンはこう言うでしょう、「屁理屈なし」と。