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『サウンドパワー』からセミナー会場の音の空間を学ぶ

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

これからのセミナー講師が知っておきたい言葉。それは、「BGN」。バックグラウンドミュージックのBG【M】じゃなくて、BG【N】。この言葉をご存知でしょうか。

 こんな質問を投げかけるボクは、今日、知ったばかり。しばらく積ん読の状態にしていた本を読んで知りました。それは、『サウンドパワー わたしたちは、いつのまにか「音」に誘導されている!?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という音に関する本。 

 著者は、サウンド表現コンサルタントとして活躍しているミテイラー千穂サン。アメリカの企業をはじめとして、音を使ったブランディングやマーケティングなどを行っています。著書はこの本が初めてのようです。

 この本に、「BGN」という言葉が登場します。これは、バックグラウンドノイズの略語。不本意にもキャッチせざるを得ない音のことを指します。例えば、騒音が挙げられます。なんでも、BGNは健康を害したり、生産性を下げたりと、マイナスのパワーがあるといいます。

 実際、レストランを評価する「ザガット」による顧客調査では、このBGNがクレームの筆頭に挙がっているとのこと。アメリカやイギリスの評論家は、BGNのレベルについてもリポートしている状況のようで。つまり、それほどまでに音によって不快感を覚えるということ。

 

 これは、セミナー講師に携わる者としては、看過できない。いくらコンテンツの内容やその伝え方に気を使っていても、一番のクレームがBGNになりかねないということ。つまり、セミナー会場における音の空間のデザイン次第で、受講者の学びに影響を、しかも悪影響を与えてしまう可能性があるのです。

 この本で説明されている音の空間は、飲食店やオフィスにおけるもの。とはいっても、セミナー会場でも同じように考えることができるハズ。

 騒音が出る原因は、その空間に、音を反射する硬い表面材質が使用されていること。これによって、さまざまな音が反射、共鳴するために、BGNレベルが上がってしまう。すると、柔らかい表面のものを使えば、音を吸収してくれます。著者も、その2つのバランスが大事だと主張します。

 

 セミナー会場でいえば、硬い表面とは窓ガラス。大きめの会場では、片面や二面が窓ガラスで覆われている状況もあります。このままでは、音が反射してしまうため、特に窓周辺に座っている受講者の不快感が増す要因となってしまいます。

 それを抑えるには、カーテンが良いとのこと。BGNレベルを下げる観点からは、重厚なドレープカーテンを推奨しています。

 確かに、よく利用している貸し会議室では、厚手の布地のカーテンが窓に掛けられています。この本を読むまでは、布地のカーテンでは暗くなり圧迫感もあるため、ブラインドカーテンで日差しを取り込めれば良いのに、と考えていました。

 しかし、ブラインドカーテンだと硬い表面のため、音を反射させてしまいます。BGNの観点からはアウト。だから、カーテンだったのですね。

 ただ、この本の著者は、薄手のカーテンでもBGNレベルを下げる効果があると言います。であれば、こちらにしたほうが、明るさや印象という観点からでも問題は減らせます。あの会場のカーテンが薄手になることを祈るばかり。

 

 このように音の空間まで配慮したセミナーや研修を提供したなら、受講者の学びがさらに加速しますね。数年後は、薄手のカーテンを持ち歩くセミナー講師が増えているかもしれませんよ。

 今後、ボクがカーテンを持ち歩いているのを見かけたときには、これからセミナー講師をするんだと察してください。えっ、何。事前に送っておけば良いだって。そんなツッコミもカーテンが吸収しちゃうので、聞こえない、聞こえない。

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