組織の中には、いろいろなタイプの人がいます。先日、友人から、対照的な二人の話を聞きました。一人は、やる気をみせながら何もしない人。もう一人は、分担された業務ではないのに、率先して引き受ける人。
最初のタイプは、やる気をみせながら何もしない人。仮に、その人のことを「Aさん」としましょう。Aさんは、自分のスキルを活かせると考えたことから、あるプロジェクトに立候補して参加したそうです。
ただ、そのプロジェクトでは、Aさんが想定していたレベルを超えた検討をしていたとのこと。そのため、活かしたいスキルを発揮できずにいました。
とはいえ、プロジェクトを進めるための作業は分担される。期待していた仕事と違ったため、作業ははかどらない。で、期限間際になって、ボクの友人に仕事を振ったそうです。結局、何もしていない。
これに対するタイプは、分担された業務ではないのに、率先して引き受ける人。仮に、その人のことを「Bくん」としましょう。友人が所属している事業部門で、上司から、大量の束の整理を指示されていたそうです。
指示は社内のイントラネットで周知されたものの、具体的に誰が何をするかは、添付されたファイルを開かなければわからない。資料の種類が多すぎて、自分の担当があるのか、ないのかを探すだけでも一苦労だったようです。
友人は、いくつか分担がありながらも、なかなか着手する時間がとれない。期限が迫ってくる中、困っていたところ、後輩のBくんが声をかけてきたそうです。「それ、自分がやりましょうか」と。
Bくんは、ボクの友人の困った顔をみて、自分には関係のない資料であるにもかかわらず、その整理を進んで引き受けたとのこと。友人はとても助かったと喜んでいました。
このように、AさんとBくんという対照的なタイプは、キャリアの歩み方が変わってきます。というのも、キャリアとは誰かに引き上げてもらう側面があるから。具体的には、ボクの友人が、その後、どうしたかを聞けば、よく理解できるハズ。
友人は、Aさんがその仕事をしていないことについて、プロジェクト・メンバー全員にそれとなく伝えたそうです。「この作業、Aさんが期限間際に押し付けた」と。それを知らないのは、Aさんだけ。
一方、友人は、Bさんが分担でもないのに手伝ってくれたことを、しっかりと事業部門長に報告します。「この整理は、Bくんが進んでやってくれました」と。それを知らないのは、Bくんだけ。
これは、わかりやすい例。でも、引き上げてくれる人が存在するのは事実。誰かのために、誰かの役に立つために仕事をしている人は、必ず誰かが引き上げてくれる。それには明確な理由があります。
それは、大事な仕事は、ちゃんと完遂してくれる人にお願いしたいから。そのために、普段から仕事ぶりがチェックされているのです。ムラのない姿勢が見られているのです。
それは、組織の中でも、組織の外でも同じ。大事な仕事やプロジェクトは成功させたいため、テキトーな人やムラのある人に任せたくない。あなたがその責任者なら、誰かを引き上げる立場になったら、同じように思うでしょ。
あなたを引き上げてくれる人は、案外、身近にいるものです。もし、キャリアの伸び悩みを感じているなら、普段の姿勢を見直してみてはいかがでしょうか。