その昔、英会話スクールを手掛けている女性経営者とお話しをしたことがありました。ボクが「英語がそんなに上手くないんですよ~」と軽く話したら、ピシャっと言い返されたセリフがあります。
そのセリフは、今でも強烈に印象に残っています。なぜなら、英語について当てはまるのもそうなんですが、英語以外のことにも当てはまるから。それは、次のセリフ。
「ボキャブラリーがないからよ」
確かに、ボキャブラリーが少ないと、英語を話すことも書くことも、話しかけられている内容を理解することも難しい。それに対して、ボキャブラリーが多ければ、比較上、英語をスムーズに扱うことができるようになります。
このボキャブラリーは、英語以外のことでも同じ。例えば、文章の作成。
先日のブログ「文章力を高めるには『トゥールミン・モデル』を使え」で、人様の文章を添削したとお話ししました。それに関する文章を今日は、自身で作成していました。性質上、悩む面もあったのですが、予定していた時間の半分で仕上げることに成功。
というのも、ボクがその文章に関連する事例を圧倒的に知っているから。つまり、その文脈でいうところのボキャブラリーが豊富だったのです。そのため、先日の人様の文章作成よりも、より早く、より良い形で仕上げることができたのです。
セミナーや研修の講師でも同じ。この間、後輩クンが人前に立つ機会があったときに、直前に話をしていました。緊張していた彼は、「竹村さんは、研修の前に緊張することはないのですか」と尋ねられました。
もちろん、緊張はします。ただ、その緊張との付き合い方に関するボキャブラリーがあるので、対処できているのです。
例えば、開始前にこちらから参加者を観察しておくとか、冒頭部分は話す内容を決めておくとか、本編に入るまでに参加者を巻き込んでおくとか。他にも、緊張がほぐれるツボや、登場するときの視線の動かし方、リラックスするためのエクササイズなど。
そんな講師として知っておくべきことや身につけておくべきことといった、いわゆるボキャブラリーが、講師慣れしていない人に比べて多い。だからこそ、緊張と上手く付き合えるのです。
こうした文脈でも、ボキャブラリーの一言に集約することができます。ね、本質をついた言葉ですよね。もう20年近くも前のことでしたが、その女性経営者と話していた光景は今でも鮮明に覚えています。
何かを上手く行いたいなら、どんなボキャブラリーを増やせばよいのか。知識かもしれませんし、経験かもしれません。あるいは、スキルかもしれません。キーとなるボキャブラリーが一体、何なのかがわかると、飛躍するための突破口にできますよ。