Business model

有能な業務改善アドバイザーの見分け方

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

業務の負荷が重いとき。あなたなら、どう対処しますか。

 先日、ボクの知り合いから聞いた話。知り合いが、後輩から相談を受けました。ある業務について、作業の負荷が重いため、何とかしたいと。知り合いは、もちろん、ぜひ、何とかしようと相談に乗りました。

 その後輩は、「だから、こうしたいんですよ」と解決案を提案してきたようで。知り合いは、後輩から解決案まで聞けるとは思っていなかったため、前のめりで話を聞く態勢をとりました。一体、どんな提案が聞けるのかと楽しみにしていたのです。

 ところが、後輩は、「この作業を、ボクの部下に振りたいんです」と提案しました。さすがに、知り合いは呆れ果てます。えっ、あなたの提案って、その程度なの、と。

 なぜなら、会社として何も状況が解決していないから。負荷の重い作業を自分以外の誰かに押し付けただけ。それでは、ババ抜きと同じ。誰が嫌なカードを引くか。

 知り合いは、それでは解決になっていないから、仕組みで対処すべきだと諭します。例えば、自動化するとか。ちょうど、その作業が定型的なものであったため、自動化しやすかったようです。

 これを聞いた後輩は、少し考え始めます。で、「これはどうですか」と提案してきた内容が、なかなか良かったとのこと。後輩が中間の作業を省略するような提案だったのです。

 これ、業務改善の典型例。ボクが昔、業務活動のフローチャートで学んだのは、いかに転記をなくしていくか。当初の情報源があると、それをいくつも、いくつも転記していく業務があります。

 例えば、別々の部署で、同じ情報を異なる帳票やシステムに登録しているケース。また、同じ部署でも、同じ情報を異なる帳票やシステムで取り扱っているケースもあります。

 ひとつの情報源をあちこちに登録することは、いくつも転記していることに等しい。それは、まったくの無駄。転記によって情報が異なる内容となるリスクがあるため。

 そうではなく、ひとつの情報源はひとつの帳票やシステムに登録しておくべき。そのうえで、利用の局面に応じて、適宜、取り出すほうが間違いは起きない。

 また、中間を取り持つような作業を廃止して、情報源と情報を利用する側とを直接、結びつける方法もあります。まるで、製造段階と卸売段階と小売段階の三者で流通を行っているときに、卸売段階を省略するようなもの。これも、転記をなくすことに同じ。

 知り合いの後輩が再提案したのは、この卸売段階を省略する内容。知らずに、業務改善の王道を考えついていたのです。これも、知り合いの促しがあったおかげ。高い視点から呼びかけたのが良かった。

 後輩は、最初、自分だけの視点にとどまっていました。この辛い作業を誰かにやってもらえたら、自分は楽になれる。そう提案すれば、問題は解決すると。

 しかし、知り合いは、会社全体から俯瞰しました。後輩の作業について、他の誰かに押し付けるのではなく、いかに軽減あるいは消滅することができるか。それが全体最適となると。

 このように、業務改善を行うアドバイザーには、高い視点から組織を眺めることができるスキルが必要です。特に外部の専門家に依頼する場合には、窓口の部署だけの依頼に応えがち。

 そうではなく、組織として全体最適を図る提案ができるかどうかが大切。それが、経営者の期待するアドバイス。一方のゲインが、もう一方のペインになっては組織経営として意味がないから。

 あなたが利用しているアドバイザーが、揉み手している姿勢なら要注意。もっとも、揉み手するアドバイザーを好んで利用しているなら、もっと危険。さて、どちらの状況にありますか。

メルマガの登録、始めます前のページ

自分を振り返えるの良い時期次のページ

関連記事

  1. Business model

    『Perennial Seller』から定番商品の作り方を学ぶ

    今日も読書で、面白い体験をしました。午前中に取り掛かっていた執筆の区…

  2. Business model

    ビジネスでスケールを追うときに見失いがちな点

    先日、知り合いと出会っていました。ここまでコロナウイルス騒動が大きく…

  3. Business model

    情報バラエティ番組から持続可能な仕組みを学べ

    経営者や管理担当役員なら、情報バラエティ番組で見逃してはいけない点が…

  4. Business model

    「好きな雑誌」がないことのビジネスモデル的な説明

    あなたの好きな雑誌はなんですか。今朝来た、近々に参加するセミナーのリ…

  5. Business model

    カラオケのデュエットはマーケット・インで

    最近、カラオケに行っていますか。ボクはといえば、さっぱり行けていない…

  6. Business model

    再会に学ぶイベントの盛り上げ方

     今日は、帝国ホテルの「孔雀の間」から。ディナーショーに行ったのではあ…

  1. Accounting

    『「のれんの減損」の実務プロセス』の第1章を語る
  2. Accounting

    寄稿「監査人交代時に企業が注意したいKAMのポイント」
  3. Accounting

    サステナビリティ開示の書き方をフォローしていくなら
  4. Accounting

    KAMの適用2年目は、この2つの記事で万全
  5. Accounting

    PLの利益分析にご用心
PAGE TOP