Accounting

プラネタリウムで「耐用年数」の用語を聞いたなら

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

今年の七夕も、東京では天の川を見ることができない。明日、東京の夜の天気予報は、曇り。以前のブログ記事「7月7日、七夕の誤解をキャリアに活かす」でお話ししたとおり、今年も統計にしたがって、晴れにはならない。まあ、晴れていても、あんなに明かりが強く灯っていたら、天の川を見ることはできませんけどね。

 そんなときには、プラネタリウムの登場です。リアルでダメなら、バーチャルで見る。日常から非日常の世界へと飛び込むのです。

 ボクが小学生の頃、近所の公民館にプラネタリウム施設がありました。無料で利用できたため、毎週末、立ち寄っていたものです。少しひんやりとした真っ暗な室内で、星空のスクリーンに星座の絵を重ねながらの解説を聞いていました。ときには、心地よい睡眠に誘われながら。

 そんな原体験があるためか、ボクにとってのプラネタリウムとは、ほっとできる場所。非日常の世界に浸るには、うってつけ。で、20年ほど前に、渋谷にあった「五島プラネタリウム」に行きました。

 この五島プラネタリウムは、残念ながら今はない。渋谷の駅前にあった東急文化会館が閉館することに伴い、その8階に入っていた五島プラネタリウムも2001年3月に閉館となりました。その跡地に建設されたのが、現在の渋谷ヒカリエ。

 ボクがここに行ったのは、確か、6月頃。というのも、会計監査の繁忙期を乗り越えた頃に、その日常から離れてリラックスしたかったから。会計士の業界は、3月末決算の会社が多いため、その決算に対する会計監査を行う4月から5月にかけての期間に業務が集中しがち。そんな繁忙期を乗り越えてヘトヘトになっていたことから、非日常の世界を求めて、この五島プラネタリウムへ行ったのです。

 館内に入ると、子どもの頃に通っていたプラネタリウムと同じように、少しひんやりしています。当時の様子を肌感覚で思い出したためか、プログラムが開始する前から非日常の世界に入っていきます。

「ああ、懐かしいなあ」「ああ、リラックスできるなあ」「ああ、どんなプログラムなんだろう」と、ひとりニヤニヤしながらプログラムの始まりを待つ。

 そこで、2列後ろの席に、ボクと年齢が近そうなカップルが座ります。楽しげな話し声から推測するに、デート。「ああ、デートなんだね」と微笑ましく感じながらも、これから始めるプラネタリウムの開演を楽しみに待っていたときに、衝撃の会話が耳に入ってきたのです。

「あのプラネタリウムの機械って、耐用年数、何年かな?」

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおお、やめてくれえええええええ。こっちは、会計という日常を忘れるために、プラネタリウムを訪れたというのに。なんで、会計の専門用語をここまで来て聞かなきゃならないんだーーーーーーっ。

 耐用年数とは、会計や税務で用いる専門用語。建物や機械などの固定資産を使う年数。実際の物理的な使用年数ではなく、収益獲得に貢献するための経済的な年数のこと。ちなみに、プラネタリウムの主投影機の耐用年数は、15年が用いられているようです。

 この一言で、ボクは非日常の世界から一気に日常の世界に引き戻されましたよ、まったく。もう非日常の世界に浸るなんてできない。で、結局、睡眠の世界に浸ることに。あっ、子どもの頃から変わってないか。

 この体験から学んだことは、一般的に非日常の世界とされる場所では、専門用語を使ってはいけない、ということ。プラネタリウムはもちろんのこと、遊園地や水族館、映画館などの施設も同じ。日常を忘れるためにやってきている人がいるのだから、専門用語を聞いた途端に現実に戻されてしまう。そもそも、そんな場所で「耐用年数」なんて専門用語を持ち出すのは、野暮。

 とはいえ、人の行動は変えられない。だったら、自分の行動を変えるのみ。外ではなく、自宅で星空を楽しむ方法があります。

 家庭用のプラネタリウムが、随分と進化しています。なかには、流れ星を流す機能がついたものもあるようで。リラックス効果どころか、ロマンティックな気分も後押ししてくれます。

 東京近郊のかたは、晴れるかどうかの天気にかけるのではなく、家庭用のプラネタリウムにお金をかけてはいかがでしょうか。

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