Business model

『Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生』からビジネスモデルを探求する

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

この数ヶ月で、ボクの生活に入り込んだものがあります。短い期間のうちに、かなりのヘビーユーザーとなりました。それは、Spotify。音楽ストリーミングサービスの、あの緑色のアプリ。

新型コロナウイルスによって在宅勤務となったことから、BGMをかける機会が増えました。以前はiTuneでCDを取り込んだ楽曲を聴いていたり、Amazon Musicで聴ける範囲の曲を流していたりとしていたものの、ここまで日常でBGMを必要とする中で、もっと聴きたい気持ちが強くなったのです。

このときに出会ったのが、Spotify。無料でここまで聴けるなんて、「すごい」の一言。なぜ、もっと早く使っていなかったかと思うほど。今ではSpotifyをかけない日はないくらいに、ボクの日常に溶け込んでいます。

やがて、お金を支払うことなく、ここまで楽しめることが気になり始めます。一体、このSpotifyのビジネスモデルはどうなっているのかと。で、緊急事態宣言がまだ解除されていない頃にSpotifyに関する書籍を探したのですが、当時、思いの外、ヒットしない。

ただ、6月に、Spotifyに関する本が発売されると表示されていました。それは、『Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生』(ダイヤモンド社)。

 

ジャーナリストであるスベン・カールソン氏とヨーナス・レイヨンフーフブッド氏による共著。なんでも、CEOであるダニエル・エク氏のこれまでを明かした、世界初にして唯一の書というじゃありませんか。期待が高まります。

そこで、Spotifyのビジネスモデルをボクなりに整理すると、次のとおり。このサービスを立ち上げる前は、音楽の違法コピーが出回っていました。これを撲滅しようとする想いから、Spotifyは生まれます。

ユーザーとしては違法コピーならタダで手に入る中、Spotifyが有料でサービス展開したところで誰も利用してはくれない。そこで、無料で配信することにこだわります。

しかし、音楽を製作し配信するには当然にコストがかかります。ユーザーがこれを負担しなければ、他が負担しなければならない。ここで広告モデルを導入します。ユーザーは無料で合法的に音楽配信を聴けるものの、広告も聞かなければならない。ここで、Spotifyの顧客セグメントには、広告主が挙げられます。ここから広告収入が生まれます。

また、ユーザーが広告なしで音楽を楽しみたいなら、月額使用料を支払うことで解決できるようにもしています。無料ユーザーが一定数、有料ユーザーにアップグレードしてくれると、広告収入以外にも財政基盤が安定します。つまりは、ビジネスの持続可能性が高まるのです。

一方で、このSpotifyというサービスを提供するにあたって、配信技術が必要になります。パソコンやスマホにデータを保存していないため、何も手当しなければ、次の曲の再生に時間がかかってしまいます。これは、ユーザーにとって曲間が長すぎると使い勝手が悪い。そのため、0.2秒以内を目指して開発を進めてきました。

やがて、スマホのアプリとして利用されるようになると、ユーザーの嗜好や位置情報をはじめとしたビッグデータを活用し始めます。ビッグデータに基づき作成されるプレイリストの「ディスカバリー・ウィークリー」の提供が売りのひとつでもあります。このような技術を扱える者が不可欠です。

こうした配信サービスを行うには、アーティストやレコード会社からの協力が欠かせません。本書では、これらとの交渉の過程がいかに大変であったかが記されています。その協力は、具体的には、音楽著作権の支払いという形で現れます。

この支払が収入を上回っていた時期もあったようで、今現在まで財政が破綻しなかったことが何より。ちなみに、IPOのくだりもありますね。IT企業がこぞってナスダック上場を目指していたところ、ニューヨーク証券取引所を選んでもいます。

Spotifyのビジネスモデルは、ざっくりと、こんな感じ。本書では、アップルが対立軸として描かれていました。アップルはiTuneとして有料のサービスを提供しています。

このような軸を持ち出すように、Spotifyのビジネスモデルのキモは、無料配信にこだわるところにあると考えます。その根底にあるのは、音楽の違法コピーの撲滅でした。だからこそ、アーティストやレコード会社が手を組むことに承知しているのです。

ボクは企業のビジネスモデルを考えるときには、ミッションをベースにしています。これを起点に、誰に何を提供しているのかを整理するのです。これがミッションに基づいているのかどうか。

ミッションのないビジネスは、単に財やサービスをお金と交換しているだけ。その企業が取り組む意義がなければ、どの企業が手掛けてもよいため、他の企業との差別化がないのに等しい。

だから、ミッションをベースにしたビジネスモデルであるべきと考えています。できれば、何人かと一緒になって、ミッション・ベースのビジネスモデルを探求していく場を作っていきたい。

ちょうどボクは、「リードフォーアクション」という読書会の認定ファシリテーターでもあります。この読書会は、事前に本を読み込まなくても良いのが特徴のひとつ。

今回、紹介した『Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生』は、422ページもある厚手の本。これを読み込んでからの参加となると、ハードルが高すぎ。いつまで経っても参加できない可能性があります。

そうではなく、何も読むことなく、当日、2時間程度の「リードフォーアクション」読書会で自身が必要とする箇所がつかむのです。なにも小学校のように読書感想文を書く必要はないため、大人の読書はそれでOKじゃありませんか。

だから、企業に関するビジネス書を題材に、何人かが集まってビジネスモデルを探求していく。いろんなバックボーンの方が集まれば、自分では気づかない視点が得られます。もちろん、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、オンライン上で集まっても良い。

興味のある方は、個人的にメッセージをくださいませ。ボクの生活にSpotifyが入り込んだように、あなたの生活に上質な読書体験を取り込みませんか。

 

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