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ディベートの方法論で平穏な日々を暮らす

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

昔、ビートたけしサンが、こんな話をしていたのを覚えています。ただ、30年近くも前に聞いた話なので、ディテールはほとんど忘れています。なんとか覚えている範囲で伝えると、こんな話。

 鳥のヒナが生まれました。あっ、哺乳類だったかもしれません。その辺はご容赦ください。そろそろ、親鳥から独り立ちしようとする頃。ようやく羽を広げて飛び立とうとした瞬間、鷹がそのひな鳥をつかまえて遠くに去っていく。

 残された親鳥からすると、鷹は最低な存在。一生懸命育てたひな鳥の命を奪ってしまったから。決して許せるはずがありません。

 そんな話を聞くと、誰もがひな鳥と親鳥に同情してしまう。突然にして、置かれた環境が激変してしまう。なんて、鷹はひどいヤツなんだと。

 一方で、別の話が持ち出されます。それは、この鷹の話。この鷹も親鷹に育てられていました。ようやく一人で生きていけるかどうかが試される、初めての狩り。

 親鷹が見守る中で、初めての狩りに成功する。これで安心して、子離れすることができる。鷹の世界からみれば、ハッピーなストーリー。

 このように、どちらの視点で物事を眺めるかによって、それに対する感情は変わってくる。どちらも正義であり、また、どちらも悪ではないと。そう、ビートたけしサンが話していた記憶があります。

 最近、これに近い状況を知人から聞きました。ボクはこの知人をよく知っているため、突然の人事の知らせに驚きました。経験豊富だから、きっと、自身の道を歩んでいくんだろうと勝手に解釈していました。

 その後、もう一方の側からの話も耳にします。ボクの解釈とは、どうも違う。事情はどうあれ、そういう判断になったことに驚きました。

 知人の話も、ビートたけしサンの話と同じで、どちらの立場から見るかによって、正義と悪が入れ替わる。命や人権に差し障りがない限り、完全に正しい正義はないのです。

 ただ、人間とは面白いもので、それで終わるワケではありません。それを超えた状況を生み出すこともできるのです。A案かB案のどちらを選ぶかで争うのではなく、そのどちらにもメリットがあるC案を提示することもできるから。

 知人のケースではありませんが、ボクが関わった最近の案件では、このC案で無事、解決しました。A案とB案とでバチバチしていた中、「こんな方向でどうかな」とC案を提示したところ、両者ともに納得。無事にソフトランディングできました。

 思うに、どちらか一方の立場から物事を考えない人には、このC案は生まれない。片方から聞く話だけで、正義を決めようとします。それでは、永遠に対立の構造から抜け出せません。

 ボクは、ディベートの真似事をしていたため、最終結論に至るまでは、片方の意見にだけ立つことはしません。もう一方の意見にも立場を切り替えながら、それぞれに言い分が成り立つのかどうか、根拠は適切かどうか、それを採用することで別の問題は生じないないかなどを検討していきます。

 こうして、A案かB案のどちらかが合理的かについて根拠をもって導くこともあれば、それらを超越したC案によって解決することもあります。ディベートの方法論を学んだことによって、自身も周りも幸せになれたと思っています。

 完全な正義はない。立場が変われば、見方も変わる。それを心に留めておけば、平穏な日々を過ごせますよ。お試しあれ。

日経新聞に広告が掲載された『ダイアローグ・ディスクロージャー』前のページ

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