文豪ゲーテが開示責任者なら、財務報告の流儀を求めたことでしょう。「一つのことが万人にあてはまりはしない。めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ」と話していたのだから。
そこで、KAM(監査上の主要な検討事項)を早期適用した事例から、財務報告のあり方について考えていく連載が、この「財務報告の流儀」シリーズ。今回は、次の事例を取り上げていきます。
(1)事例
証券コード 8285
会社名 三谷産業㈱
業種 卸売業
開示書類 有価証券報告書
決算日 2020年3月31日
監査法人 有限責任あずさ監査法人
会計方式 日本基準
(2)早期適用によるKAM
連結財務諸表に対するKAM
- 空調設備工事契約及び受注制作ソフトウェアの工事進行基準の適用における工事原価総額の見積りの合理性
個別財務諸表に対するKAM
- 空調設備工事契約及び受注制作ソフトウェアの工事進行基準の適用における工事原価総額の見積りの合理性(ただし、連結と同一内容のため、記載を省略している)
今回の事例から学ぶべきポイントは、次の3点です。
- 監査人のオリジナルな記載は企業の開示に影響を及ぼすか
- KAMの記載が薄い原因は監査人か、それとも、企業か
- 収益認識がKAMとして選ばれる企業の特徴
同社の有価証券報告書をご準備いただき、実際の開示を確認しながら、財務報告のあり方を学んでいきましょう。いかに財務報告を良くしていくかに真摯に向き合っている人だけ、この先にお進みください。(注:無料の「財務報告の流儀(お試し版)」はこちらから。)
P.S.
この解説がベースになった書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』(同文舘出版)はこちら。