文豪ゲーテが開示責任者なら、財務報告の流儀を求めたことでしょう。「一つのことが万人にあてはまりはしない。めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ」と話していたのだから。
そこで、KAM(監査上の主要な検討事項)を早期適用した事例から、財務報告のあり方について考えていく連載が、この「財務報告の流儀」シリーズ。今回は、次の事例を取り上げていきます。ちなみに、今回の解説から、金融・保険関連の上場企業を取り扱っていきます。
(1)事例
証券コード 8303
会社名 ㈱新生銀行
業種 銀行業
開示書類 有価証券報告書
決算日 2020年3月31日
監査法人 有限責任監査法人トーマツ
会計方式 日本基準
(2)早期適用によるKAM
連結財務諸表に対するKAM
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による貸出金等の信用リスクへの影響の評価
- 利息返還損失引当金の評価
- プロジェクトファイナンスに係る貸倒引当金の評価
個別財務諸表に対するKAM
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による貸出金等の信用リスクへの影響の評価
- プロジェクトファイナンスに係る貸倒引当金の評価
(いずれも連結のKAMと同一内容であるため、記載を省略している)
今回の事例から学ぶべきポイントは、次の2点です。
- 企業の開示と記載の一致率が高いKAMは本当に意味がないのか
- KAMに記載された未公表の財務数値との付き合い方
同社の有価証券報告書をご準備いただき、実際の開示を確認しながら、財務報告のあり方を学んでいきましょう。いかに財務報告を良くしていくかに真摯に向き合っている人だけ、この先にお進みください。 (注:無料の「財務報告の流儀(お試し版)」はこちらから。)
P.S.
この解説がベースになった書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』(同文舘出版)はこちら。