こんにちは。KAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。
KAM早期適用の事例について、2020年3月期分が明らかになりました。今年は新型コロナウイルスの影響を受けて、2020年3月期に係る有価証券報告書の提出期限が、2020年9月末まで延長されていたため、昨日が提出期限日。
ブログ記事「ついに判明、KAMの早期適用の状況」では、2020年6月末までに有価証券報告書を提出した上場企業について、KAMが早期適用された事例を紹介しました。その時点では、41社でした。
その後、2020年7月に2社、8月に1社の早期適用の事例が登場しました。9月を検索したところ、事例がありませんでした。よって、2020年3月期の上場企業でKAMが早期適用された事例は、44社となりました。
業種としては、21。東証の業種区分の大分類に基づけば、製造業が16社、金融・保険業が13社、その他が15社。ちなみに、製造業のKAM早期適用には、日本基準を採用している企業はありませんでした。
他の決算期における2020年9月末現在の状況は、2020年4月期、5月期はゼロ、6月期は1社です。その1社とは、情報・通信業に属する㈱ファイバーゲート。監査人は、有限責任あずさ監査法人。
連結のKAMとして、次の2つが報告されていました。
・レジデンスWi-Fi事業における初期導入サービスに係る売上高の期間帰属の適切性の検討
・通信設備の実在性及び除却処理の網羅性の検討
なお、個別のKAMは、連結のKAMと同一内容であるため、記載が省略されています。そのうち、本ブログでのシリーズ投稿「財務報告の流儀」で分析結果をご紹介したいと考えています。
それにしても、KAMの早期適用を分析していくと、論点が山のように出てきますね。1日が72時間くらいあると良いのに、と思うほど。分析、検討、とりまとめをしたうえで発表に至るには、やはり相応の時間が必要ですからね。表層的な分析なら、さくっと終わるのでしょうけど、社会にバリューを与えたいため、じっくりと掘り下げていきたい。
今も、とある報告に向けて、あまり触れられていない論点を整理しているところ。これ、日本固有の論点だと考えています。KAMの早期適用の事例を目の当たりにして、この論点の大きさを思い知りました。発表したときの反応に興味津々です。
そんな論点の多くは、ブログ記事「財務報告の流儀」でお話ししています。ただ、ワンコインによる課金となるため、記事の中から解説をいくつか抜粋した「お試し版」を用意しています。
「KAMって監査人の話しだろ」
「KAMにそんなに論点があるの」
「監査人とKAM協議で何をしたらいいの」
「あのKAMには、一般的な解説とは違う観点があったんだ」
「実務的な観点からの分析が聞きたい」
どれかに該当するなら、ぜひ、無料で「お試し版」をご覧ください。
P.S.
2020年3月期のKAM早期適用事例の解説は、書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』(同文舘出版)として発売されました!