Accounting

KAMのコピペを見破る方法、教えます

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

こんにちは、KAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。

KAM(監査上の主要な検討事項)といえば、ボイラープレートが話題になることがあります。ボイラープレートとは、KAMの記載が紋切り型となることを指します。

教科書的な回答としては、監査に固有の情報が報告されないため、制度趣旨に反するからです。これだと、監査人の話で終わってしまいます。

しかし、KAMのボイラープレートによる影響が、しかも「悪」影響が企業側にも及ぶとしたら。それでも、まだボイラープレート化したKAMを放置しますか。

消え去れ、ダメダメ監査人

ボクが見聞きしている中で、KAMがボイラープレート化してしまう原因は、たったひとつ。監査人のマインド次第。いかに財務諸表監査に固有の情報を説明しようとする姿勢があるかどうか。

監査人に前向きな姿勢があるなら、KAMがボイラープレートになることはありません。中には文章の作成能力が十分ではない監査人もいるかもしれませんが、監査に固有の情報を報告するマインドがあれば、能力不足をカバーすべく努めるハズ。

これに対して、監査人がKAMの報告に後ろ向きの姿勢では、テキトーな対応となることが目に見えています。市場の期待に応えよう、いや、応えるべき状況に立たされていることさえ知ろうとしない。

「なぜ、こんな面倒くさいことをやらされるんだ」

「書きすぎちゃマズいから、ほどほどで良いんでしょ」

「まったく同じことを書こうとしていたから、問題ない」

そんな気持ちでは、他のKAM事例をコピペする方向に問題意識を持つことはありません。むしろ、変にわかった風な割り切り感さえあるかもしれません。いずれにせよ、そんな監査人は、1秒でも早く監査業務から消え去ったほうが社会的にはベスト。

実は、バレバレのKAMコピペ

後ろ向きの姿勢の監査人は、もしかすると、他のKAM事例の記載をコピペしたところで、ばれることはないと、タカをくくっているのかもしれません。しかし、それは勘違いも甚だしい。バレまくりです。

そう言うと、「監査の固有の状況が同じなんだから、結果的にKAMの記載も同じになった」と反論しようとするでしょう。きっと、「外部からは裏がとれないため、コピペがバレることはない」とでも思い込んでいるに違いない。

確かに、KAMだけを見ていれば、その反論も成立することもあるでしょう。KAMだけしか見ていなければ。

でも、ですよ。企業は、財務報告を行っています。記述情報を充実させる制度改正の下で、企業が置かれた状況の説明に言葉を尽くしています。

また、会計上の見積りについては、記述情報はもちろんのこと、企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」が強制適用となると、その注記が開示され、かつ、監査の対象にもなります。これらの開示とKAMとを照らし合わせたときに、コピペであることが丸わかりになることがあるのです。

監査人や企業の姿勢が丸わかりになるKAMの分析手法

このように、KAMだけを分析するのではなく、企業の開示も含めて検討することで、コピペがバレる可能性が十分にあるのです。もしも、KAMのコピペが発覚するような事態となったら、企業側にも「監査人と十分な協議を行っていないのではないか」という疑念の目が向けられる可能性もあります。

そんなことを解説しているのが、2021年2月に発売予定の『事例からみるKAMのポイントと実務解説: 有価証券報告書の記載を充実させる取り組み』(同文舘出版)です。2020年3月期の上場企業で早期適用されたKAMについて、ひとつひとつ読み解き方を説いています。

本書の第2章「製造業におけるKAM」では、23社、実質的に報告されたといえる36のKAMに対して、39の解説を行ってます。そこに含まれている解説「KAMのボイラープレートが企業に及ぼす事態」では、そうした疑念の目が向けられるリスクがあることを説明しています。KAMのコピペを見破る方法を紹介しているようなもの。

第2章に掲載された解説

こうした解説について、実は、目次にしていません。KAM事例にアクセスできることに読者の関心があると理解しているため、本書の解説の目次までは作らなかったのです。

ただ、どんな解説があるかが気になる方もいらっしゃると思います。そこで、「裏・目次」として、紹介していきますね。まずは、こんな感じで。

  • 会計上の見積りの開示における「その他の情報」への対応
  • KAM以外の項目に言及した背景を探る
  • KAMに相当する事項のリリース
  • KAMの記載の仕方は淘汰される
  • KAM報告のベストプラクティス
  • 繰延税金資産の回収可能性についての開示のヒント
  • 追加的な開示の要否判定に有益なもの
  • 簡素な記載のKAM
  • 個別財務諸表の監査報告書に記載されるKAMの意義
  • 監査人オリジナルの記載でも企業の開示と整合する事例
  • 専門家の利用に関する記載の優良事例
  • リスクアプローチが適切に行われているサイン
  • 会計上の見積りの重要な仮定はリスクマネジメントに通ずる

また、こういうテイストのものもあります。

  • 注記と記述情報とで記載ぶりを変えることの影響
  • 将来のKAM候補を予想する方法
  • 内部統制の評価手続から企業のレベル感が見える
  • 評価が高まるに違いない、この注記
  • 重視したものに絞り込む記載のほうが読みやすい
  • 少額の子会社株式がKAMに選ばれた背景を探る
  • KAMに手続の結果や見解まで記載することの是非
  • 工事進行基準のKAMがボイラープレート化する理由
  • KAMと企業の開示とで生じた表記ゆれ
  • ひとつのKAMを複数の見出しに分割しない
  • KAMのボイラープレートが企業に及ぼす事態
  • 財務諸表注記における感応度分析を踏まえた開示
  • KAMの範囲が推測できない場合に企業に求められること

さらに、次のようなものも用意しています。

  • 監査人による要約が企業の開示の趣旨を変えかねない
  • 監査人の視点がキーとなるポイントに集約
  • 財務報告の利用者に誤解されないための記載の仕方
  • 企業と監査人とで重要な判断が異なる印象を受けるケース
  • センシティブな情報を扱ったKAM事例は評価されるべき
  • 会計上の見積りに関する主要ではない仮定
  • 記述情報が充実している事例
  • 会計上の見積りに関する重要な仮定への手続の充実
  • KAMの報告はどこまでを前提とすべきか
  • 監査上の対応をわかりやすく記載することとは
  • KAMの添削
  • 企業の開示内容の意図がKAMに適切に反映される方法
  • わかりやすいKAMはひとつの内容に絞り込む

この中で興味をもった解説がありましたら、ぜひ、本書でご確認ください。ただ、ニッチなテーマのため、書店ですぐに入手することが難しいこともあるでしょう。これを読んだタイミングで、予約することを強くオススメします。

 

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P.P.S.

2020年3月期に早期適用されたKAMについて分析した結果は、拙著『事例からみるKAMのポイントと実務解説』にてご覧いただけます。まずは、こちらの紹介ページをご確認ください。

 

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