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セミナーや研修で「話し合うのは無駄」と感じるのは、あなたのせいじゃない

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先日、こんなツイートを見かけました。セミナーや研修で、グループで話の内容をディスカッションする意味がわからない、と。

もしかすると、このように無駄な時間だと感じている人も少なくないかもしれません。とても残念なこと。残念というのは、受講しているあなたではなく、講師のほう。きっと、どこかで受けたセミナーのやりかたを、見様見真似で取り込んだに違いありません。

そのように断言できる理由は、ボクがファシリテーションのスキルを学び、かつ、それをセミナーや研修の場で実践してきたから。今から話すことを聞くと、冒頭のツイートは誤解であることが理解できるようになりますよ。

(1)グループで話し合う目的

まずは、グループで話の内容をディスカッションする意味から説明しましょう。これには、明確な目的があります。

それは、学習効果を高めるため。

記憶を定着させ、また、今後もそれを引き出せるようにするために、こうした話し合いの時間を設けるのです。セミナーや研修を受講する目的は、学びを活かすため。そのための仕掛けのひとつが、グループでの話し合いなんです。

(2)講師が上手くてもファシリテートが上手とは限らない

しかし、これを見様見真似でやってしまうと、逆効果。いやいや感が出てしまうと、むしろ学習効果は期待できません。ストレスを貯めてしまいますからね。

ボクはファシリテーション・スキルを学んでいるため、セミナーや研修で話し合いの時間が設けられたときに、講師のスキルの水準がよくわかります。受講する側でありながらも、講師側の視点でも見ているから。

「ああ、この人は理解しているなあ」と納得したり、「おお、すごい、この技」と関心したりとファシリテーションの知見がある講師では、ボクもスムーズに誘導に乗ります。

一方で、「ありゃりゃ、これ、表面的に真似しているだけだわ」とがっかりすることもあります。講師経験があることと、ファシリテートができることとは意味が違います。いくら情報伝達が上手にできても、場を誘導することが上手とは限らないのです。

(3)ダメな例とその理由

ダメな典型例は、「では、今からグループで話し合ってください」と促すもの。これで話し合いがうまくケースとは、受講者に意欲と能力があるときに限られます。そうでなければ、「なんで、こんなことをやらなきゃいけないの」と頭に疑問符を百万個つけた状態でダラダラと話すだけ。

そんな講師が、Zoomなどのオンラインのセミナーや研修で、ブレイクアウトルームに入れさせようもんなら、最悪。話すつもりができていない人がいる状態で、話し合いを求めているのだから、上手く行くはずがありません。

先日、ボクが受講したセミナーでも、このような状況となりました。4人のブレイクアウトルームで、ひとりだけ、音声のミュートを頑なに外さずに参加しなかった人がいました。セミナー受講の条件として顔出しがあったため、ビデオはオンにしていたものの、終始、顔を横にそむけている始末。

その他の2人がちゃんとした人たちだったため、3人で話し合いをしていました。つまり、話し合いができる環境を作らなければ、受講者の意欲と能力に期待するだけになります。講師側のコントロールから離れるのです。ましてや、ブレイクアウトルームではなおさらのこと。

(4)話し合える場作りのための仕込み

セミナーや研修で話し合いを上手に誘導するためには、手順があります。ファシリテーション・スキルがある講師は、これを巧みに仕込んでいます。セミナーや研修が始まってから徐々に仕込むこともあれば、それが始まる前から仕込むこともあります。

セミナーなどが始まってからの仕込みについては、時間帯に応じて、目的と手法が異なります。開始したて、中盤、終盤で、実施する話し合いの目的が異なります。目的が違えば、自ずと手法も変わります。イメージとしては、場を温め、理解を深め、今後につなげる、といえます。

また、セミナーなどが始まる前からの仕込みについては、わかりやすいのは、進行していく中で話し合いがあることを事前に伝えること。あらかじめ断っているため、受講者はその覚悟で参加します。話し合う姿勢を作ることができるのです。

(5)後輩との会話

以前、職場の後輩に、ボクが講師を務めた研修におけるファシリテーションについて質問を受けたことがあります。「あのときのアレには、どんな意味があるのですか」と。その質問の背景には、話し合いが上手く進む理由を知りたがっていました。

そこで、ボクはこう答えます。

「まだ研修が始まったばかりだから、受講者も不安だ。安全な場だと感じ取れるために、まずは、これをしたんだ。そのときに、アレをしたのは、こういう意図があって選んでいる。すると、無意識にこの場に迎えられていると感じ取れるため、その後、話し合えるような環境が作られていくんだ。」

他にも、「あれには、こんな意図がある」「あのときにこうしたのは、こういう効果があるから」と次々と説明しました。おまけで、セミナーが始まる前からの仕込みの、他の事例も添えて。

(6)ファシリテーション・スキルのある講師は誰だ

後輩は、「きっと、竹村さんのことだから、ひとつひとつ意味があるんだと思っていましたが、そこまで考え込まれているとは思いませんでした。想定をはるかに超えてます」と驚いていたっけ。ファシリテーションについて然るべき理論を学び、かつ、実践を通じて経験値を高めているため、そうした背景を知らなければ、驚くのも当然です。

反対に、そうした知見もなく、ただ「さあ、話し合いましょう」と呼びかけても効果が得られないのも当然の帰結。上手くいくための導線がないのに、上手くいくことを期待するのは、奇跡を待つだけですからね。

セミナーなどでの話し合いは無駄だとする誤解は、ファシリテーションの知見が乏しい講師に責任があります。せっかく学習効果を高める施策であるのにモッタイナイ。

ぜひ、一度、ファシリテーション・スキルをもった講師のもとで、話し合いを行ってみてください。見える景色が変わりますよ。

P.S.

ボクが行うセミナーや研修では、自分が自由に行える場でなければ、こうしたファシリテーションは行っていません。話し合いとは別の仕掛けを行うことは多々あっても、話し合いを促すセミナーや研修は、完全に自分の責任で実施できる場合に限っていますので、ご注意を。

ファシリテーション・スキルについて「もっと知りたい」とご興味をもたれたときには、ブログ記事で説明しているものがありますので、そちらをご参照ください。

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