文豪ゲーテが開示責任者なら、自社に固有の情報を記載したでしょう。「一つのことが万人にあてはまりはしない。めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ」と話していたのですから。
そこで、早期適用されたKAM(監査上の主要な検討事項)の事例から、財務報告のあり方を考える連載が、この「財務報告の流儀」シリーズ。現在、2020年12月期の事例を取り上げています。
今回のポイントは、記載に特徴があるKAMです。
(1)事例
- 証券コード 5201
- 会社名 AGC㈱
- 業種 ガラス・土石製品
- 開示書類 有価証券報告書
- 決算日 2020年12月31日
- 監査法人 有限責任あずさ監査法人
- 会計方式 IFRS
(2)早期適用によるKAM
連結財務諸表の監査報告書に記載されたKAM
- 欧州自動車用ガラス事業の有形固定資産の減損テストにおける使用価値の見積りの合理性
- ディスプレイ用特殊ガラス等の生産設備に係る有形固定資産の減損テストにおける使用価値の見積りの合理性
個別財務諸表の監査報告書に記載されたKAM
- AGC Glass Europe S.A.に対する投資の評価の合理性
- ディスプレイ用特殊ガラス等の生産設備に係る有形固定資産の減損損失の認識の要否の判定における将来キャッシュ・フローの見積りの合理性
(連結のKAMと同一内容ではあるが、記載の省略を適用していない)
(3)今回の事例から学ぶべきポイント
- 企業と監査人とで特に重要な項目が揃っている開示
- 他のKAM事例にはない特徴的な記載
- 1つ目のKAMとは異なる記載の仕方
ここから先の解説は、野次馬的に重箱の底を突くような人には向いていないため、有料コンテンツとしてハードルを設けています。いかに財務報告を良くしていくかについて真摯に向き合っている人に限り、ご購読ください。
(注)2020年3月期の早期適用事例の分析については、書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』という形でまとめております。