男性だろうと女性だろうと、アイドルを見ていると、テレビに出たての頃よりも、その後になってから輝きを放つ方々がいらっしゃいますよね。
そういう方々の姿を見ると、まだ芽も出るかどうかがわからない頃に、将来になって輝く何かを見抜いた人の眼力がすごいと感心するばかり。きっと、1,2年後といった短期ではなく、十数年後の姿が想像できるのでしょうね。
例えば、草なぎ剛サン(最初から才能を見抜いていたファンの皆さん、ごめんなさい。でも、話はここで終わりませんから)。
2021年3月に開催された第44回日本アカデミー賞では、映画『ミッドナイトスワン』で最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を獲得しましたね。SMAPデビュー当初の頃は、ここまでの俳優になるとは想像もしていませんでした。その程度の眼力だから、ボクは芸能プロダクションでタレントの卵を見出す仕事には関わっていないワケで。
でも、1999年に彼が主演した映画を観ています。アカデミー賞を受賞する20年も前に。その映画を劇場で観て、また、DVDも持っています。というのは、ホイチョイ・プロダクションズの大ファンだから。
草なぎ剛サンが主演する映画『メッセンジャー』は、馬場康夫監督の4作目の作品。入り口はホイチョイ映画でしたが、バラエティ番組以外の彼の一面を知ったきっかけでした。そうそう、当時、馬場監督から「顎を上げた角度が一番カッコいい」と評価されていたっけ。
映画監督でもドラマでも、その世界観を創り上げるためには、キャスティングが大切です。ボクらの世代でいえば、CX系ドラマ『ロングバケーション』なんて、主演の木村拓哉サン、山口智子サンをはじめ、竹野内豊サン、稲森いずみサン、松たか子サン、りょうサン、加えて少しだけ登場した広末涼子サンも、皆、主役級の役者ばかり。
そんなキャスティングで最近、驚いたのは、著者を発掘する出版社。具体的には、会計専門誌の『企業会計』(中央経済社)の眼力がすごい。
というのも、最近、始まった連載に、「アカデミズムに何が起きているのか? ――学術雑誌・査読論文の今昔」があります。これが面白いのなんのって。極めてニッチなテーマを扱いながらも、興味を惹きつけながら、ぐいぐい読み込ませていきます。
同誌2021年8月号に掲載された第3回目に至っては、終わり方が秀逸。本文で語ってきたことについて、「~すべては20世紀後半になって問題化していく・・・のであるが、これについてはまた次回。」と結ぶのです。構成作家がついているのではないかと思わせるくらいに上手い。ボクも著者の端くれとして、くやしさを感じています。
執筆されているのは、同志社大学准教授の佐藤翔サン。会計専門誌で連載を持つくらいだから、専門は会計や監査と思いきや、図書館情報学というジャンル。畑が違っても読み込ませるとは、もはや脱帽もの。もちろん、そんな佐藤サンを起用した『企業会計』の編集者の眼力にも。
思えば、専門誌が著者を起用することは、映画やドラマで役者をキャスティングするのと同じこと。思い描く世界観を表現できる人を活用したい点に変わりはありません。コンテンツの受け手に喜んでもらえるなら、実績があろうがなかろうが関係ない。
まあ、ボクはといえば、草なぎ剛サンの才能を見抜けなかったため、監督や編集者という立場ではなく、コンテンツそのものを生み出す立場で頑張りますよ。
来月の2021年8月には、2つのコンテンツが公表される予定。ひとつは、がっつりとした実務解説。もうひとつは、読み物のテイストを重視することをオーダーされた会計コラム。どちらも面白い仕上がりになっているの思う・・・のであるが、これについてはまた別の機会に。