Accounting

なぜ、後発事象のセミナーで、気候変動に言及するのか

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

まさか、後発事象のセミナーで、気候変動の話題に触れるとは思ってもみませんでした。やはり、何かを話すときには、そのときの自身の関心事が表れますね。

それは、昨日の2022年2月16日、株式会社プロネクサスさんで収録してきた、後発事象のセミナーでのこと。新型コロナウイルス感染症の感染対策として、事前に収録したものを後日、配信する形式です。

セミナーの内容は、3部構成。第1部が後発事象の基礎を理解すること、第2部が開示後発事象の記載例を提示しながらポイントを解説するもの、第3部が後発事象に対応する体制を紹介するものです。途中で5分間の休憩を2回挟みながら、後発事象だけで3時間を話してきました。

 

気候変動の話題が登場した後発事象とは

この第2部で紹介した記載例の中で、「地震による損害の発生」に関する開示後発事象を含めていました。損害を受けた金額だけではなく、保険でカバーできる部分があるなら、それも一緒に開示しないと、財務諸表の利用者に誤解を与えると説明していました。

当初、セミナー資料を作成していたときには、それ以上の説明を行うつもりはまったく予定していませんでした。粛々と事例とポイントの解説を進めていくことを想定していました。まあ、取り上げた記載例が、14もありますからね。普通に考えれば、余談をしている時間がありません。

ところが。

自分で「保険でカバーできる部分があるなら」と説明している一方で、「あれ、気候変動の影響によっては、保険でカバーできなくかも」との疑問が浮かんできました。

 

気候変動の話題に触れた理由

というのも、ボク自身が気候変動の影響を痛感したのが、世界的な損保会社による「気温が4度上昇すると保険が成立しなくなる」との発言を聞いたため。あまりにも衝撃的で、以前のブログでも紹介したほどです。

こうして自然災害によって損害を被ったときに、今までは保険でカバーされる部分がありました。もちろん、すべて補填されるものでもありません。また、復旧までの期間に事業活動が制限されることによる機会損失を踏まえると、保険だけでは厳しい局面もあるでしょう。

しかし、固定資産や棚卸資産に保険が付されているときには、ある程度は補償されるため、その資金で事業活動を再開するスピードが早まります。ゼロからのスタート、少しマイナスからのスタートとできることが期待されます。

それに対して、保険がない世界では、自然災害によって被った被害は、何ら補償されません。事業活動の復旧や再開のための資金的な支援が得られないのです。つまり、大きなマイナスからスタートしなければならない。これでは、事業活動がそこで終わりとなる状況も容易に想定できます。

 

そのとき、講師は何を考えていたか

当時は、こんなことを痛感していたため、今回のセミナー収録で、思わず、その話題に触れたのです。気候変動の物理的リスクによって、開示後発事象の注記で、保険でカバーできる旨が記載できない状況がありありと目の前に浮かんだから。

こうした余談は、昨年までの後発事象セミナーでは加えていません。同じ内容を話していても、そのときどきで自身の関心がどこに向いているかが自ずと反映されますね。セミナー中に、それを実感しました。やはり、収録とはいえ、セミナーは生モノですね。

ビジネス系のセミナーでは、再受講という制度が設けられているものがあります。その昔は、「なぜ、すでに聞いたセミナーを、もう一度受講するのだろう」と不思議でした。もっとも、ワーク重視のセミナーであれば、その中で仕上げられるものも変わるため、再受講の意味もあるのでしょう。

ただ、そうではないセミナーでも、講師が常に変化している場合には、余談はもちろんのこと、セミナーで取り上げる内容や伝える手法、スライドの見せ方などが進化しています。再受講すると、エッセンスは同じでも、別の観点からの気付きが得られやすくなります。そのため、今回の後発事象のセミナーも、再受講する意義があると自負しています。

 

大幅に改訂されたセミナー資料

というのも、セミナー資料の内容を大きく改訂したため。特に第1部と第2部は、今まで以上に理解しやすくなっているはず。実際、講師の立場からも、一番説明しやすかったと実感しています。全面改訂となった理由は、セミナーの中でこっそりとお話ししていますので、そちらもお楽しみに。

このセミナーの配信は、2022年2月25日から3月31日まで。3月末決算の企業では、決算に突入する前に、後発事象についての理解を整理できます。しかも、この期間内であれば、何度も繰り返して視聴できます。

ボクが後発事象について説明する場は、このプロネクサスさんのセミナー以外に予定はありません。この機会を逃すと、次は、1年後まで受講できないかもしれません。ウィズ・コロナ時代に関連する開示後発事象の記載例も紹介していますので、このタイミングで受講されてはいかがでしょうか。再受講もお待ちしております。

 

P.S.

2022年7月に、後発事象に関する決定版かつ完全版として『すぐに使える 後発事象の会計・開示実務』を発売しました。セミナーに参加しそびれたときには、こちらをご活用ください。

企業不祥事が起きるかどうかは、コーポレートガバナンス報告書を見よ前のページ

多幸感がすごいセミナー「KAMをめぐる会計上、監査上の課題-わが国におけるKAM分析の第一人者による解説-」次のページ

関連記事

  1. Accounting

    『コロナショックから始まる変容のプロセス』から捉え方を学ぶ

    転がり出る空間が核をなす。つまり、あなたが今、取り組んでいることの結…

  2. Accounting

    だから、収益認識は注記が大事なんだってば

    やっぱり、収益認識の新基準って、最初から注記もセットにして公表すべき…

  3. Accounting

    誰にも見せられない、KAMの手元メモ

    こんにちは、企業のKAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。…

  4. Accounting

    『リースの数だけ駆け抜けて』第13話「専門家という壁」

    2025年6月中旬。梅雨の晴れ間から差し込む光が、会議室の窓を通して…

  5. Accounting

    なぜ、簿記に3つの試算表が必要とされたのか

    合計試算表、残高試算表、合計残高試算表――これらが必要とされた理由と…

  6. Accounting

    とにかく「時点」にこだわった後発事象セミナー

    いや~、楽しかったですね。2024年2月26日に、一般財団法人産業経…

  1. Accounting

    M&Aの世界に見る、キャッチーな専門用語
  2. Accounting

    ABCバンブーメルマガ 2020年3月7日号
  3. Accounting

    コラム「もしも、英国の監査委員会が、有報の『監査役監査の状況』を記載したら」を寄…
  4. FSFD

    「詳細検討」とは何だったのか——第68回SSBJ審議に残る説明責任
  5. Accounting

    研修の反応は懇親会で判明する
PAGE TOP