企業による気候関連の開示状況は、評価されています。しかも、その企業の監査人の対応も含めて。
この評価を公表しているのは、クライメイト・アクション100+です。これは、世界最大の温室効果ガス排出企業が気候変動に対して必要な行動をとることを確認するための投資家主導のイニシアティブです。気候変動に関するアジア投資家グループ(AIGCC)、セレス、気候変動に関する投資家グループ(IGCC)、気候変動に関する機関投資家グループ(IIGCC)、責任投資原則(PRI)という5つの投資家ネットワークによって運営されています。これらが運用する資金額が巨額なため、企業としてもその対応には慎重にならざるを得ません。
そのクライメイト・アクション100+が開発したものに、「ネット・ゼロ企業ベンチマーク2.0」があります。これに基づき、クライメイト・アクション100+が掲げる3つの目標(排出削減、ガバナンス、ネット・ゼロ移行計画の開示と実施)に対する対象企業のパフォーマンスを評価していきます。この中に、「気候会計・監査ハイブリッド評価」が含まれています。ここに、企業による気候関連の開示状況が評価されているのです。
その評価結果の最新版が、2023年10月に公表されました。そこで、今回の特別記事では、「気候会計・監査ハイブリッド評価」の内容を解説します。これを読むと、世界の企業が気候変動の影響を考慮した会計実務の進展状況が理解できるでしょう。