Accounting

表現へのこだわりとKAMセミナーの核心

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

「表現すること」へのこだわりに気づきました。

それは、2024年10月9日に、KAM(監査上の主要な検討事項)をテーマにしたセミナーを収録した直後のことです。3時間にわたってKAMについて熱心に語っていた自分に、「なぜこれほどまでにKAMに熱意を持つのか?」と問いかけました。その答えが、自分の「表現」へのこだわりだったのです。

KAMとは、監査人がどのように財務諸表を監査したのか、その思考プロセスを表現したものです。それらから読み取れる情報には多くの洞察と発見が詰まっているため、私はそのことが楽しくて仕方ありません。

  • 「ああ、こうやってリスクに焦点を当てたんだ」
  • 「なるほど、このアプローチは斬新だな」
  • 「この記載方法は本当に見事だ」

こんなふうに、KAMに含まれる表現に触れるたびに、子どもの頃から抱いてきた「表現」への情熱がよみがえります。歌や楽器演奏、読書、映画鑑賞、絵を描くこと、ものづくりなど、どれもが「表現」に集約できます。今では、その関心が、企業が発信する財務諸表やサステナビリティ開示、コーポレート・ガバナンス報告書といった情報に向けられています。また、執筆やセミナー、プレゼンテーションといった形でも、自分の「表現」を続けています。

今回のKAMセミナーでは、2024年3月期の上場企業の財務諸表監査で報告された1,000件以上のKAM事例から、特に「表現」が優れたものを13件厳選しました。この調査にかけた時間と労力が、私の「表現」へのこだわりを何よりも証明しています。

これら13件のKAM事例には、企業にとって実際に役立つ数多くのヒントが含まれています。ここでは、その中でも特に注目すべきポイントをいくつか紹介します。

財務リスクの過大解釈を防ぐ表現

KAMとして報告された事項の金額をどのように記載するかによって、財務リスクが過大に解釈される可能性があります。監査人が注意深く表現した事例を学ぶことで、適切な表現の重要性に気づくでしょう。

無料で利用可能な外部データの活用

監査人が、会計上の見積りの監査において、無料の外部データソースを使用した事例もあります。企業にとって、コスト削減と精度向上を両立できる有益な情報です。

統制の質を高める仮定と運用

会計上の見積りに関する重要な仮定について、他社がどのように統制を運用しているかの事例を知ることで、内部統制の改善に役立てることができます。

事業計画と人件費の見積り

人件費が高騰する中、企業の事業計画にどのように人件費が反映されているのか、外部データを用いた仮定が報告されています。これにより、予算編成の精度を高める手がかりを得ることができます。

異常検知ツールの活用

ある監査法人がKAMで報告した4種類の異常検知ツールは、企業監査における新しい手法として注目されます。

不確実性への対策

監査人が事業計画の不確実性を検討する際に実施した分析手法は、企業側にとっても不確実性を管理するうえでの有益な参考材料となります。

在庫管理における監査手続

監査人が在庫の実在性を確認するために実施した定量分析は、物理的な検証に加えた新たなアプローチとして注目されます。

IT統制の柔軟性

わずか2行に凝縮された表現で、企業側の状況変化に応じたIT統制の重点変更が報告されたKAM事例があります。この柔軟性は、他社にとっても参考になります。

新リース基準への備え

新システムへの移行に関するKAM事例は、システム変更における留意点を提供しています。これは、新リース会計基準への対応のためのシステム変更でも同様に活用できます。

 

このように、KAM事例の「表現」には深い思考と洞察が込められています。これらの表現が、企業のリスク管理や内部統制の向上に貢献できるものがあります。

今回のKAMセミナーは、今後2ヶ月間、視聴可能です。企業活動に役立つ「表現」のヒントを、ぜひこの機会に手に入れてください。

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