企業が行う見積開示は、投資家や利害関係者にとって重要な財務情報を提供する役割を果たします。しかし、情報を過剰に開示することで、財務リスクが実態よりも過大に見える結果、誤解を招くリスクがあります。
そこで、見積開示の意義を再確認するとともに、適切な開示方法を探るため、2024年11月8日に株式会社プロネクサスの協力のもと、毎年恒例の「会計上の見積り開示」に関するセミナーを収録しました。今年で4回目となるこのセミナーのタイトルは、『2024年最新版「会計上の見積り開示」徹底解説 ~適切な選び方と書き方の秘訣を伝授~』です。
■見積開示の要点:3つの要素を満たすことが必要
見積開示会計基準は、ただ多くの情報を開示することを求めていません。そうではなく、次の3つの要素をすべて満たした項目のみを開示することを要求しています。
- 乖離幅:見積りと実績との差を示す
- 現実味:将来の事象が現実化する可能性の高いシナリオ
- 時間軸:翌年度の財務諸表に与える影響の視点
これらの要素をひとつでも欠いた開示は、財務リスクを不必要に過大評価させる可能性があります。企業価値を保護するためには、見積開示の厳格な要件を満たすことが求められます。
■開示の必要性が低下するケース
2024年3月期の開示調査では、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小したことで、「開示なし」と判断された事例が増加しています。これは、会計上の見積りの不確実性が減少したことで、前年度に必要だった見積開示が当年度では不要とされたことを示しています。
このような経年変化を具体例で紹介することで、実務においてどのように開示要件が変化していくかを理解する助けになります。このような透明性は、企業価値の保護にもつながります。
■実務に役立つ事例:英国FRCの最新レビュー結果も交えた解説
今回のセミナーでは、英国のFRC(財務報告評議会)による最新のレビュー結果も紹介することで、企業が直面する課題やその改善プロセスを具体的に解説しました。海外の優良事例から学ぶことで、受講者は自社でどのように見積開示を行うかの指針を得られます。
■日本における優良事例:見積開示のベストプラクティス
また、2024年3月期の見積開示事例から選定した13の優良事例を紹介するとともに、そのポイントを解説しました。これらの事例はステークホルダーにとって理解しやすい形で情報を提供しているため、受講者が実務に活かせる具体的なヒントを提供しています。
■今回のセミナーを通じた学びと実践への誘い
会計上の見積り開示は、企業価値を守り、かつ、ステークホルダーとの透明なコミュニケーションを図るための重要な手段です。最新の情報と実践的な解説を提供する3時間のセミナーを通じて、開示の選び方、書き方を見直す機会にしてはいかがでしょうか。