Accounting

会計不正の“兆候”では遅すぎる。だからこそ、平時から狙うべき一点とは?

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

 

「この不正事例、うちでも起こり得るだろうか?」

調査報告書を読みながら、そんな思いが脳裏をかすめた経験があるかもしれません。しかし、その問いこそが、リスクをすり抜けさせる静かな落とし穴なのです。

調査報告書に載る不正は、言ってみれば「事件現場のスナップショット」にすぎません。つまり、他の企業のある瞬間に起きた出来事のため、そのままの手口が自社で再現されるとは限らないのです。そんなスナップショットを額縁に飾って自社に当てはめても、本質的な防御にはならないでしょう。

それにもかかわらず、個別具体的な手口だけに注目してしまうと、逆に「本質的なリスク」を見落とす可能性すらあります。もっと根深くて本質的なリスクがすり抜けていってしまうのです。犯人の似顔絵を貼ってパトロールしても、別の顔をした脅威は笑いながら通り抜けていきますよ。

 

■結果ではなく、「構造」を疑え

会計不正とは、結果です。肝心なのは、その「構造」を見抜けるかどうか。

たとえば、売上高や棚卸資産が不自然に膨らんでいるようなケースを考えてみてください。そのとき、現物から帳票へ、あるいは帳票Aから帳票Bへと、「情報の転換」が必ず行われています。その瞬間こそが、会計不正がこっそり忍び込む「抜け道」になりやすいのです。

言ってみれば、情報がスーツケースに詰め直される乗り換え駅のようなものです。そこには、目を光らせる監視カメラが必要ですよ。

したがって、平時から「どこで情報が形を変えているか?」という視点で業務を見直すことが、会計不正リスクに強くなるための最初の一歩です。アラームが鳴ってからでは間に合いません。静かに変化する場面を捉える力こそが、真の予防線になります。

 

■虫の目と鳥の目を同時に持つ——6つの転換点でリスクを見抜け

今回のセミナーでは、私が財務諸表監査や不正調査の現場で編み出した「業務プロセスの単純化モデル」を軸に、会計不正リスクへの着眼点を伝授します。

このモデルでは、売上や仕入、在庫といった業務プロセスごとの違いをすっ飛ばして、すべてに共通する「情報の転換点」を6つに分類します。いわば、業務の流れの「骨組み」を見える化するフレームワークです。

この視点で業務プロセスを見ると、複雑に見えた業務の流れがスッと整理され、なおかつ「ここが弱点だな」と会計不正リスクの急所が浮かび上がります。虫の目で細部を見ながら、同時に鳥の目で全体を俯瞰するのです。

さらに、セミナーでは、このモデルを紹介するだけでは終わりません。最新の不正事例を使って「不正事例の解析シート」や「検証手続立案シート」に実際に書き込みながら、自社の業務プロセスに当てはめて考える体感型ワークを実施します。インプットとアウトプットがセットになっているため、明日からの現場で即使える実感を持っていただけるはずです。

 

■兆候を待つな、歪みを見ろ

会計不正への対応は「兆候」を待ってからでは遅いといえるでしょう。実際の現場では、「あれ、なんかおかしいな」という違和感があった時点で、会計不正の芽はもう芽吹いているためです。

本当に必要なのは、情報の流れがわずかにゆがむ瞬間に気づける感覚です。そこにピタッと反応できる統制こそが、現場に根ざした生きた内部統制です。あなたの会社の内部統制は、形式美にとどまっていないでしょうか。それとも、構造美として機能しているでしょうか。

このセミナーで得られるのは、単なる知識ではありません。構造を見抜く視力と行動に落とす手の感覚です。会計不正リスクは、静かに忍び寄ります。だからこそ、こちらは先に構えておくのです。あなたのその一手、ここで研ぎ澄ませてみませんか。

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